〝写真映え〟の「新・南都八景」 世界遺産と美しい景色
南都の世界遺産 後世に伝える「映え」撮影スポット
ユネスコの世界遺産「古都奈良の文化財」が2023年12月2日に登録25周年を迎えたことを記念し、八つの構成資産(東大寺、興福寺、春日大社、春日山原始林、元興寺、薬師寺、唐招提寺、平城宮跡)が薦める「写真映えする」撮影スポットから最も人気のスポットをウェブ投票で選定。現代の「新・南都八景(なんとはっけい)」として、奈良市観光協会(奈良市三条本町)が発表した。
「南都八景」は、奈良の美しい景色とそれに溶け込んだ風物を名付けたもので、「東大寺の鐘」「春日野の鹿」「南円堂の藤」「猿沢池の月」「佐保川の蛍」「雲井坂の雨」「轟橋(とどろきばし)の旅人」「三笠山の雪」の八景を指す。
室町時代の「陰涼軒日録(いんりょうけんにちろく)」という文献に初めて登場。江戸時代には、名所絵図や名所案内記に描かれ、広く知られて来た。現代でもその景色が見られることが魅力の一つでもある。
「新・南都八景」も世界遺産とともに後世に伝えられる景色、撮影スポットとなる。
東大寺「二月堂の眺め」
旧暦の2月に「修二会(お水取り)」が行われることから二月堂と呼ばれる。写真は12月早朝の景色。大仏殿の鴟尾(しび)が入ることで奈良らしくなる。夕焼けや夜景も美しい場所。
東大寺「二月堂の眺め」
春日大社「春日鳥居の前でたたずむ鹿」
写真は二之鳥居の前で撮影したもの。神の使いとして大切にされてきた奈良の鹿と鳥居の組み合わせは奈良ならではの光景と言える。
春日大社「春日鳥居の前でたたずむ鹿」
興福寺「若草山からの興福寺遠望」
興福寺伽藍(がらん)は、建立当時と同じ場所にあるという。若草山から先人の祈りに想いをはせてみると、また違った景色が見えるかも。修繕に入る五重塔が見えるのはあとわずか。
興福寺「若草山からの興福寺遠望」
春日山原始林「滝坂の道」
市街地から柳生街道の前半に位置するのが滝坂の道。ふぞろいの石を敷き詰めた石畳がある風情豊かな山道で、かつて山岳仏教の信仰の対象となった石仏が多く残されている。
春日山原始林「滝坂の道」(県提供)
元興寺「日本最古の屋根瓦」
極楽堂の北流と西流、禅室の南流の東側の屋根瓦は、丸瓦と平瓦が重なりあって葺(ふ)かれ、飛鳥時代の古式瓦を伝えている。赤みを帯びているのは飛鳥から運ばれた瓦、表面に縄目が残るのは移築時に焼かれた奈良時代の瓦という。
元興寺「日本最古の屋根瓦」
薬師寺「南大門付近からの白鳳伽藍全景」
東塔と西塔が並び建つ薬師寺を象徴する景色。南から一枚の写真に収めるにはこの場所しかない。写真はパノラマで撮影。
薬師寺「南大門付近からの白鳳伽藍全景」
唐招提寺「金堂」
南大門の参道から金堂の全景を写したもの。奈良時代に創建された金堂建築の最高傑作。空を大きめに撮るのがお薦めとのこと。
唐招提寺「金堂」
平城宮跡「平城宮跡の空」
平城宮跡は遮るものがなく、無限に広がる空を見渡せる。流れる雲や夕日など、季節や時間によって現れるさまざまな景色を体感でき、奈良時代に思いをはせたくなる。
平城宮跡「平城宮跡の空」