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インタビュー リオ五輪金メダル(バドミントン)高橋礼華さん - 奈良新聞創刊77周年特集 アスリートからのメッセージ

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自分のプレーをすれば結果はついてくる

 奈良県橿原市出身で、リオデジャネイロ五輪(2016年)のバドミントン女子ダブルスで金メダルを獲得した高橋礼華さん。日本の女子バドミントン史上初の快挙を成し遂げ、引退後も後進の育成に取り組み、今年は橿原市スポーツ大使にも就任した。金字塔を打ち立てた高橋さんにスポーツの持つ力についてうかがった(文中敬称略)。

 

ノンフィクションが人の心を動かす

―スポーツの魅力とは何ですか。

 

高橋 現役時代は自分のプレーに夢中だったので、バドミントンのほかはよく分かりませんでした。しかし、引退して他の種目のスポーツを観戦するようになると、勝っても負けても感動をもらえると思うようになりました。スポーツには人の心を動かすものがあります。その感動は、ドラマとはまた違います。スポーツはノンフィクションです。他のスポーツはルールが分からないのですが、観戦していると知らず知らずのうちに熱が入り、勇気を与えられたり、感動で泣きそうになったりします。

 

―自分の現役時代のプレーヤーの立場とは違いますか。 

 

高橋 全然違います。スポーツは種目ごとにそれぞれ別で、それぞれに感動があり、負けたら自分でも悔しいと思います。

 

スピード、緊張感、相手の心理を読む

―バドミントンの魅力は。

 

高橋 サーブからラリーの応酬まで、スピード感があります。他のスポーツに比べると、動き続けなければなりません。とにかく止まっている余裕がないのです。とりわけシングルスの場合は、すべてのプレーに一人で対応しなければなりませんし、シャトルを床に落としたら終わりなので、その緊張感がものすごくあります。相手のスマッシユをどう打ち返すか、難しさとともに楽しさもあります。そして21点先取しないといけないので、プレー時間がとても長いです。1回1回のプレーで流れが大きく変わるのも、バドミントンの特徴です。リオデジャネイロ・オリンピックの時、こちらが1点取ったことで相手選手の表情が変わりました。「アッ、弱気になったな」と分かるのです。相手や時にはパートナーの松友美佐紀選手の表情を観察して、心理を読み取るのが得意でした。これは試合を積み重ねることで培われてきたものです。

 

 ペアとの関係も面白くて、性格が全然違っているのに、お互いが補い合ってより良いプレーを引き出すようなところがあります。

 

―ちなみに、ご自身はどのような性格なのですか。


高橋 わりと優柔不断てす。でもとても負けず嫌いで、一方で長女で妹がいるので、いわゆる「やってあげたい」タイプです。パートナーも夫も年下でして、姐御肌なのでしょうね。

 

試合を楽しむワクワク感でつかんだ金メダル

―オリンピック出場となると、国の代表ということで緊張感もかなりあったのでは。

 

高橋 バドミントンは世界選手権が毎年あります。しかし4年に一度のオリンピックは雰囲気が全然違います。オリンピックこそが本番です。実は世界選手権ではなかなかメダルがとれなくて、オリンピックの前の年の世界選手権が終わってから「オリンピックどうしよう」とパートナーと話し合いました。その結果、自分たちのプレーを出し切ってみよう、そうすれば結果はついてくるというのが答えでした。ダメならそういう練習しかしてこなかったのだからと。というわけで、一戦一戦楽しんでいくという“ワクワク”感がありました。それが結果として良かったのだと思います。最初からメダルをと思っていたら、たぶん本当の実力を出すことはできなかったでしょう。


―グローバル化が進んでいますが、日本人選手の海外進出について。

 

高橋 日本で実績を積んでから海外に出ていくのがいいのではないかと思います。バドミントンについて言えば、A代表はそれなりに実力のある選手ですが、B代表は若い選手もいます。国内で実績を積んでいる方が、失敗が少ないと思います。

 

―ご自身の経験を次代につないでいくことも必要と思います。これからの活動や目標について。

 

高橋 小学生のバドミントンを指導しています。若い世代を教えていきたいと考えています。奈良県はバドミントンに限らずスポーツ界はやや沈滞気味ですが、バドミントンを教えた子どもたちには長くバドミントンをやってほしいし、全国大会でいい結果を出してくれると、現役時代とは違ったうれしさを感じています。これも、スポーツの魅力の一つかもしれません。

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