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「フジエダ珈琲」奈良で50年 ローカルであることを誇りに

 奈良県内でカフェレストランや喫茶店を6店舗構える「フジエダ珈琲」(大和郡山市大江町、藤枝一典代表取締役)は今年、創業50周年を迎えた。これまで県内のコーヒー文化をけん引しながら県外に向けた新ブランドも立ち上げるなど、地元・奈良の魅力アピールにも力を注いでいる。

 

 新年は、直営カフェの「オランダ屋」で毎年好評のチョコレートフェアを1月15日より開催。コーヒーにあう濃厚なチョコや旬のイチゴを使用したケーキやパフェ、パンケーキなどを豊富に取りそろえる。ディナーでは同日より「旬の牡蠣づくしフルコース」(2980円)をスタートする。

 

 

始まりは3坪の倉庫から 時代と要望に沿い続け

 設立は1973年。自宅倉庫約3坪のスペースを工場としてコーヒー豆の焙煎と卸売を始め、74年10月1日、大和郡山市に「コーヒー専門店サンビー」及び本社を出店。のちに一般消費者への小売、カフェレストラン「フジエダハウス」や「オランダ屋」の開業、ECサイト「奈良藤枝珈琲焙煎所」の立ち上げなど、長きにわたり地域と共に歩みを進めてきた。

 

創業当時のフジエダ珈琲(大和郡山市、同社提供)

 

現在のフジエダハウス(大和郡山市大江町、同社提供)

 

 設立当時は、コーヒーの味や香りに徹底的にこだわる喫茶店が主な卸先。そんな喫茶店マスターの要望に応え鍛えられてきただけあり、豆の品質を見極め確かな技術で焙煎・ブレンドする力は確かなもの。現在まで県内カフェやホテルの好みに合わせた500種類を超えるコーヒーを提案してきたが、細かな調整や提案を重ね採用が決まった際のうれしさは今も変わらない。

 

 また同社自体も飲食店として試行錯誤を繰り返し、奈良にまだ外食習慣自体が根付かない時代から県内の喫茶文化に密接に関わってきた。コーヒーのほか飲食全般を提供する直営店舗を経営することで最先端の情報を常に手に入れ卸先に共有・発信。時代ごとのコーヒー文化や流行の変容にも柔軟に対応し、取引先との信頼関係を築き続けている。

 

 

目の前のお客様に幸せを提供

 この50年で同社工場は40坪に。規模が拡大してもコーヒーの「品質の安定、異物混入を防ぐ、豆の味を引き出す」のすべてをバランスよく行うため中量自家焙煎を採用。コストがかかっても日々必要な量のコーヒー豆のみ焙煎を行う。店舗展開は「ちょこっと贅沢、幸せ気分」をコンセプトに創業以来、県内かつ直営にとどめてきた。

 

 藤枝代表取締役は「直営店いずれも数十年の単位で地域の方に長く支えていただいている。過度に手を広げるより、いつも大切に思ってくださる目の前のお客様に幸せな時間を提供することを大事にしたい」と話す。平日午後のコーヒー定期券や店内で毎朝焼き上げるパンの提供、自社農場「當麻の里」で栽培したコメの店頭販売など、常に地元目線のサービスを心がける。

 

平日朝からモーニングメニューやコーヒーを楽しむ多くの人でにぎわうオランダ屋奈良店(奈良市法蓮佐保山、23年12月撮影)

 

自社農場「當麻の里」で収穫した新米、奈良の品種「ひのひかり」。2023年は豊作で初の店頭特別発売を行った(同)

 

店内に並ぶ食べ放題のパンはすべて、各店舗で毎朝焼き上げている。テイクアウト用のパンも豊富(同)

 

 

商品開発に悩み 生まれた新ブランド

 県内で広くその名が浸透する一方、県外へ向けた商品開発・販売の分野では「さまざまな試みと失敗を繰り返してきた」(藤枝代表取締役)。悩みもがいていたところに、中川政七商店の商品開発コンサルティング企画(2015年・県観光局による募集)に熱い思いが認められ採択が決定。サポートを受け、16年10月1日「コーヒーの日」(83年に全日本コーヒー協会が「コーヒーの日」と定め、のち15年に国際コーヒー機関が「国際コーヒーの日」に制定)に「奈良藤枝珈琲焙煎所」ブランドの商品を発売開始。ECサイトもオープンした。

 

 

奈良藤枝珈琲焙煎所のアソートドリップバッグ(フジエダ珈琲提供)

 

コーヒー豆の香りを逃さず酸化を防ぎ保存する、鹿のイラスト入りキャニスター(フジエダ珈琲提供)

 

 ブランドの顔となる商品のメインデザインは、県外にも通用する奈良の「鹿」イラストを採用。同サイトでは週に一度のペースで鹿に関する豆知識や、奈良にまつわることを鹿目線の日記で綴る「鹿のこばなし」も。執筆は同社のマーケティング戦略部のスタッフが交代で担当。イラストを含め、新たな世界観を打ち出し奈良と商品の魅力を伝えている。

 

 人気商品は、ドリップバッグアソートコーヒー(1296円・6パック入り)。朝昼夜におすすめの3種の味わいのコーヒーが各2パックずつ入り、お湯を注ぐだけで香り高いコーヒーを手軽に楽しめる。一杯一杯の美味しさをしっかり楽しんでもらうため、原材料のコーヒー豆は贅沢にたっぷりと使用。鹿イラスト入りのキャニスターやマグカップも販売する。いずれも同社直営カフェ店頭のほか、中川政七商店や近鉄百貨店の各店舗、セレクトショップ、ホテルなどで扱いがあり、今ではおしゃれな奈良みやげの定番として喜ばれている。

 

 

「ローカル企業」として奈良に貢献を

ドリンク代プラス320円で、ボリュームのあるプレートと食べ放題のパンが付く「オランダ屋リッチモーニングセット」(オランダ屋奈良店)

 

 平日朝、直営店の一つ「オランダ屋奈良店」(奈良市法蓮佐保山)に向かうと、幅広い世代が次々と来店しコーヒーや朝食を楽しむ様子が。職場も住まいも近隣という同僚5人の女性グループに話を聞くと、「早くからお店が開いていてゆっくり過ごせる。パンも種類が多くておいしい」「カフェラテを注文したら、うさぎやくまのラテアートが描かれてきた。かわいくて癒やされる」と、そろって顔をほころばせた。

 

 地域を大事にすることで奈良での認知度が圧倒的に高い同店。利用客も、取引先も、働くスタッフも、県内の人が中心だ。藤枝代表取締役は「奈良の皆様と共に過ごしここまで育てていただいた。コーヒーの豆一つひとつは小さな粒だが、多くの方に幸せの粒を届けたい。これからもコーヒー文化を通じて奈良に貢献できれば」と話している。

 

 同社情報詳細はフジエダコーヒー公式サイト、https://www.fujieda-coffee.co.jp/

 

※価格はすべて税込み

※記載のメニューや表示価格は取材時(2023年12月)のもの 

 

~豆知識~
アメリカから日本に波及、定着したコーヒー文化 3つの変遷(ウェーブ)

<1>【〜60年代】

インスタントや缶コーヒーなどを通して広くコーヒーを飲む習慣が浸透。日本発の「喫茶店」文化も生まれた『ファーストウェーブ』(サンフランシスコ発・浅煎りが主流)

 

<2>【60〜90年代】

イタリアンエスプレッソを使用したラテ系など海外風のカフェ文化が花開いた『セカンドウェーブ』(シアトル発・深煎りが主流)

 

<3>【90年代後半〜】

果実味や酸味のある味わいのコーヒーやコーヒー自体の風味をより楽しむようになった『サードウェーブ』(ポートランド発・中煎りが主流)

 

同社のカフェベーカリー「フジエダハウス(85年開業)」は県内のファーストウェーブをけん引。現在までの県内のコーヒー文化の歴史に「フジエダ」の名は欠かせない。

 

 

読者特典

15日から始まるディナーコース「旬の牡蠣づくしフルコース」(フジエダ珈琲提供)

 

紙面の特典箇所持参でディナーコース10%割引(2024年1月15日から2月29日までが対象)

 

1月7日付・奈良新聞紙面の特典記載箇所を持参し、提示することで使用可能。切り抜きでも可。

 

一度の提示で4人まで割引対象(利用は1回のみ/紙面コピーでの割引は不可/WEB記事提示は対象外)

フジエダハウス、オランダ屋(奈良、富雄、高田)の4店舗で利用可能。

 

企業情報

<企業名>

フジエダ珈琲株式会社

<住所>

奈良県大和郡山市大江町112-1

<電話>

0743-52-6660

 

<店舗情報>

奈良県内に直営のカフェ&ベーカリーが4店舗、喫茶が2店舗(※営業時間は店舗により異なる)

▼本店は「フジエダハウス」

<住所>奈良県大和郡山市大江町114-1

<電話>0743-52-6686

<駐車場>有(30台)

<営業時間>7:00~22:00(フードラストオーダー21:00、ドリンクラストオーダー21:30)※金、土、祝前日は23:00まで営業

 

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