クリエーターズユニット「小鹿企画」が発信する奈良発オリジナル雑貨アイテム - あふれる才能が生み出す「奈良のかわいい」集結
奈良らしくユニークな雑貨アイテムを世に送り出すクリエーターズユニット「小鹿企画」。父の日にちなみ、父親ごころをくすぐる商品を集めた小鹿企画のポップアップ「父の日フェア」が、奈良市三条大路の奈良 蔦屋書店(県コンベンションセンター内)で6月18日まで開催されている。同ユニット代表でありcoto mono(コトモノ)店主でデザイナーの東岡智恵子(44)さんを中心に、結成のきっかけ、個性豊かな各メンバーとの歩みなどについて話を聞いた。
「小鹿が大きく成長するように」と願いを込めてネーミング
同ユニットは東岡さんが発起人となり、奈良を拠点に活動するクリエーター5人が集まって2019年末に発足。「奈良発のかわいい、やさしい、たのしいモノたちを発信・お届け」するべく、それぞれが良い刺激を受け合いながら、文具や布雑貨などの企画デザインから製造までを行っている。
基本的には実店舗を持たずにユニット活動をするスタイルで、フェアなどのイベント出店が中心。窓口となる東岡さんが皆に「今回お声掛け頂いたイベントはこちら!」と発表して、イベントのカラーにピタッと合うアイテムを扱うメンバーが手を挙げる流れで、これまでやってきた。
東岡さんは2016年に自身の店舗coto monoを開業後、県内作家との交流が生まれる中、「一緒に何か作り上げて、奈良のいいものを外へ発信しよう」と、憧れのクリエーターたちをスカウトして結成された。テイストや持ち味、得意分野、性格もいろいろ。互いをリスペクトしあい、いい刺激を受けている。5人で集まるとわいわい、たまには脱線もしつつ和やかに打ち合わせが進む。
「小鹿企画」について語る東岡さん=奈良市公納堂町のcoto monoにて
レトロなマッチ箱がモチーフのメモ帳。各メンバーの個性が表現されたレアな「小鹿企画」名義のアイテム=同
「奈良じゃない人」が奈良の良さを気づかせてくれる
意外なことに、奈良県出身者は東岡さん一名だけ。他は近畿・東海・関東と色々な地域出身のメンバーが集結している。それぞれが奈良に根を張り、縁あって「小鹿企画」を組んだため、語り合う中で得る気づきは貴重という東岡さん。
「手入れの行き届いた寺社仏閣や、ゆったりとした時間が流れる町なかの雰囲気など、これまで当たり前に感じていたものが奈良の素晴らしい財産なのだと。自身も大阪勤務の時代もあったが、奈良の空気感を求めて帰ってきた。奈良に惹かれ、奈良に呼ばれて巡り合ったメンバー。『もともと奈良じゃない人』が奈良の密かな魅力を外に発信しているのは、私たちの持ち味かも」。都会は24時間便利だけれど、夜ちゃんと暗くなる奈良が自分には合っている、とはにかむ。
メンバーは「会えない期間もSNSを覗くと刺激やヒントをもらえる」関係
メンバーのひとり「サトリデザイン」の羽角さんは、以前に小鹿企画のオリジナル柄折り紙を作った際のことをこう振り返る。「サイズや配色、隠し柄などのアイデアがトントンと出て、あっという間にまとまる。生み出したいものに向け全員がピタッと合わせてくる的確さとスピード感、盛り上がるワクワク感は、日頃モノづくりに勤しむ作家同士だからこそ」。
また同「マシュロバ」の櫻田さんは「いつもメンバーのデザインセンスや商品に鼓舞されている。過去のポップアップで、(奈良県明日香村の)石舞台古墳をモチーフにした陳列ディスプレイを作ったところ、メンバーがどんどん展示アイデアを足してくれたのはいい思い出」と感慨深げ。
さらに同「いろいと」の田邉さんは「奈良柄(ナラやNARAの文字の形から発展させて生まれたオリジナル柄)のテキスタイル(=布)は、まさに小鹿企画に参加したことで奈良愛が高じて生まれたもの」と話す。
プロ5人がここぞというときに結集し良いものを世に発信していく、でも緩やかに繋がるフラットな関係。東岡さんは「自身は『窓口』。リーダーらしいことは何も」と話すが、そのナチュラルでありつつ楽しいアイデアを秘めた佇まいが「小鹿企画」の顔であり、ユニット活動の雰囲気を作り上げている。
コロナ禍を経て本格始動、活発な「小鹿」を目指して
発足後まもなくコロナ禍を迎えたため、それぞれが自身の活動・制作を深める期間とし、全員で積極的に集まって何かをというのは極力控えてきた。
「なので、小鹿企画が誕生して3年経ちましたが、まだヨチヨチ・脚プルプルの赤ちゃんジカ状態。そろそろあちこち動き始めたい。メンバーが増えたり、海外での展示もできたりしたら、また新しい展開が待っているかも」と、人となりを感じる言いまわしで、静かなやる気をにじませた。
埼玉から奈良旅行に訪れ、取材時coto monoに来店していた女性2人組は「ガイドブックで見たかわいい大仏や鹿のグッズに惹かれ、ここに来ると決めていた。奈良はゆっくりまち歩きできるし、お店もカフェも予想よりずっとおしゃれで、女子好みの場所」と、購入した奈良グッズを手に笑顔で話してくれた。
これまで遠方でのポップアップ出店で商品を手にした人からは「奈良に行ってみたくなる」、県出身者からは「奈良のものを見つけられてうれしい」との声も多く寄せられ、それを励みに3年間小さく活動を続けてきた。コロナ禍が明け、県内外での活動の、本格的な再始動が期待される。
期間限定「父の日フェア」の売り場。父の日にちなんだアイテムが並ぶ=奈良 蔦屋書店1階・ポップアップ
日常に取り入れたくなるユニークなアイテムが目をひく売り場=同
雄鹿シリーズは「小鹿企画」でインスピレーションが湧きできた商品(サトリデザイン)=同
不動明王をあしらった靴下「仏下(ぶつした)」(マシュロバ)=同
常設する「小鹿企画」のコーナー=奈良 蔦屋書店1階・文具雑貨売り場
沢山のアイテムが並ぶ間に、折り紙の鹿がお散歩中=同
子鹿柄の折り紙で作られた鹿も=同
「小鹿企画」メンバーは、個性たっぷりこの5人!
左から・・・
★サトリデザイン・羽角さん
「紙物を中心にしたデザイン」で人々を魅了する。奈良の各種イベントのポスターや、畠山製菓の手焼きせんべい「鹿さんぽ」のパッケージも担当。小鹿企画ではSNSを一手に引き受ける。
★coto mono(コトモノ)・東岡さん
鹿や大仏など奈良のモチーフをくすっと笑えるデザインにしたオリジナルの「ならうふふ文具」を手がける。自身を窓口と呼ぶ、奥ゆかしい理系リーダー。
★マシュロバ・櫻田さん
橿原を拠点に、邪鬼を踏める仏下(ぶつした=仏像柄の靴下)など「シブくてかわいい仏像グッズ」を制作。仏像愛が縁で、僧侶とコラボしたDJイベントも実施。
☆icco nico(イッコニコ)・坂本さん
手帳や日付入りマステなど「かわいくてちゃんと使える文具雑貨」を日々いっこにこ、の気持ちで企画・製造。
☆いろいと・田邉さん
「奈良からインスピレーションを受けてオリジナルデザインした布や紙を使った雑貨」を制作。美しいアイテムにはコレクターも。いつも冷静、メンバーの夢巨大化のストッパーも担う小鹿企画の「良心」。
(★は、今回の「父の日フェア」参加メンバー)
小鹿企画(こじかきかく) kojika planning
奈良からコンニチハ!奈良発のかわいい、やさしい、たのしいモノたちをお届け。
現在、奈良 蔦屋書店のほか、「cafeことだま」(奈良県明日香村)/ハンズ心斎橋店9階「関西橋商店街」(大阪市中央区)/でも常設コーナーを展開中。
小鹿企画メンバーの手がける人気アイテム計5点を贅沢に!=商品提供「小鹿企画」
小鹿企画の各クリエーター作品5アイテムの詰め合わせを抽選で1名にプレゼント。
(1) 奈良新聞のinstagramアカウント「奈良新聞の鹿好きさん」(@np_shikazuki)の「小鹿企画」記事投稿(6月4日投稿分)に「いいね」の上、
(2)「小鹿企画ボックス希望」のDM送付 で応募完了。
6月11日締め切り。抽選ののち、当選者のみにDMで連絡。非公開アカウントは抽選対象外。