「江戸の華」といわれ、観光名所でもあっ…
「江戸の華」といわれ、観光名所でもあった吉原(新吉原)だが、幕末までに計18回も全焼している。割り算すると11年に1回の割合で、復興を待つ間は別の地域に建物を借りて営業した(永井義男「図説吉原事典」)。
仮宅(かりたく)と呼ばれ、地の利や料金の安さ、普段とは違う雰囲気が受けて大繁盛、傾いた経営を立て直す店もあったという。ガイドブックも発売された。
ただ、仮宅での営業許可は期間限定で、街の再建が終わると再び元の場所に戻って営業を続けた。
こちらはいつ戻るとも知れない中での引っ越しとなった。橿原市は耐震不足などで解体が始まる本庁舎から、庁内の各部をリサイクル館かしはらなどに一時移転した。
亀田忠彦市長は新しい本庁舎を民間施設との複合型にしたい考えだが、外部委託による計画案の策定はこれからで、具体像はまだ見えない。
市民手続きの多くが分庁舎で可能とはいえ、職場環境は職員の働く意欲に影響する。県内各市の庁舎が次々と新しくなる中、先の見えない仮宅暮らしは一日でも短いのが良策だろう。(増)