「津波警報です。今すぐ逃げてください」…
「津波警報です。今すぐ逃げてください」。元日夕、NHKテレビからアナウンサーの叫び声が響いた。能登半島地震発生時の速報だ。
当初は冷静だったアナウンサーの口調は津波警報、さらに大津波警報が発令されると一変。「今すぐに逃げること」などと命令口調で絶叫して避難を促した。
もちろん、ふだんの放送ではありえないことだ。NHKでは東日本大震災の津波で避難の呼び掛けが十分に届かなかったとして、災害発生時には強い口調で伝えることに改めたという。
SNS上では「緊迫感が伝わった」との賞賛の声が上がる一方で、「大げさ」「もっと冷静に」との批判も。繰り返される緊急地震速報の警報音も含め、心に変調をきたした人もいたかもしれない。
このやり方がどれだけ避難につながったかわからない。それでも「東日本大震災を思い出して」など、必死に危険を呼び掛ける言葉は伝わったはずだ。
海のない本県では、津波こそないが地震や土砂災害、水害の危険はある。命を守るためにどんな言葉で伝えるべきか。報道に携わる者として考えさせられた。(法)