これほど薄れているとは気づかなかった。…
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これほど薄れているとは気づかなかった。平城宮跡のシンボルとして親しまれてきた朱雀門の扁額が、完成から25年を経て劣化が進み、遠目には文字がほぼ見えなくなっている。
奈良市はふるさと納税を募って修復することを決め、きょう1日から募集を開始、来年2月ごろには色鮮やかな扁額が再び門に上がる予定だ。
普段取り立てて見上げることはないかもしれないが、朱雀門の扁額は奈良市出身で日本の書壇を代表する書家の一人だった故今井凌雪さんの筆による。
筑波大学などで教授を務めた今井さんは、黒澤明監督の映画「乱」の題字を揮毫(きごう)したことでも知られる。奈良新聞の旧題字も今井さんの作品だった。
今回の修復では寺社建築の専門職人が色を塗り直し、今井さんの字も再び黒い色を取り戻す。完成時のような朱雀門の威容を再び感じさせるだろう。
奥に復元された大極殿の扁額には、長屋王が文武天皇の冥福を祈って書写させた経典の文字が使われている。こちらはまだまだ色鮮やか。よみがえった朱雀門の扁額と併せて文字を味わってはどうだろう。(増)