金曜時評

万博開催はいかに 黄信号が灯った? - 特別編集委員 北岡 和之

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 開幕まで2年を切った「大阪・関西万博」をめぐって、会場建設の遅れや資材価格の高騰などの影響を懸念する声が小さくない。中止や延期といった声まで出ており、最近になって県庁内に万博推進室を設置した山下真知事も状況が気になって仕方がないだろう。

 

 大阪・関西万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」がテーマ。2025年4月13日に開幕し、同年10月13日まで、大阪・夢洲(ゆめしま)で184日間にわたって開催の予定だ。この日程で思い出されるのが、1988(昭和63)年に奈良で開催された「なら・シルクロード博」だ。会期は4月24日から10月23日までの183日間だった。

 

 大阪・関西万博は国際博覧会、一方のなら・シルクロード博(シルク博)は地方博覧会で、規模も異なる。「民族の英知とロマン」をメイン・テーマに掲げたシルク博は、目標の600万人を上回る約680万人が来場し、にぎわった。奈良公園一帯と平城宮跡が主会場で、民族の原点を見つめようという博覧会は成功だったと言っていい。あれから世界は厳しい時代の連続だが、遺産は受け継がれ、必ず新たな道しるべを示すと期待している。

 

 シルク博の会場建設で、最大の課題は地下遺構の保護だった。会場が史跡指定地であるためだ。パビリオンなどの建築物軽量化に努め、膜構造のものが採用された。今でも課題となっている「保存と活用」が既にそこで、絶妙の形で取り込まれていた。

 

 費用面は、シルク博でも苦しんだ。当初の計画では会場建設費は60億円としていたが、最終計画では約71億円に膨らむなどした。大阪・関西万博での、当初計画より600億円増の1850億円は比較にならないが、これをどう抑えるかの知恵と工夫は求められる。国と地元自治体(大阪府・市)と経済界の3者同等負担というが、ならば3分の2が公費となる。安易な増額は論外。費用対効果をきちんと説明できるか。

 

 大阪・関西万博は約2800万人の来場を見込むという。2005年の愛知万博(国際博覧会)は同じ6カ月で約2200万人の来場だった。奈良市出身の映画作家、河瀬直美さんもプロデューサーとして「いのち」をテーマに取り組む。成功してほしいのは当然だが、乗り越えなければならない課題はまだまだ多そうだ。

 

 今回の万博誘致は、当時の大阪維新の会が政府に求めて始まった。公費に厳しい維新が難局をどう乗り切っていくかに注目。

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