奈良市で起きた安倍晋三元首相銃撃事件で注目度が高まった世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐる論議。話題に事欠かない情況だ。

　教団トップの韓鶴子総裁の発言とされる内容が報道され、その報道内容に対して教団側が反論するという事態は、とても興味深い。今は関心を持ち続けることが大事だ。

　そもそも筆者がこの教団のことを知ったのは約半世紀昔にさかのぼる。当時の教団名は「世界基督教統一神霊協会」。「原理運動」なるものをやっている宗教団体という認識だった。

　当時、いわゆる「新宗教」についての市民の関心は高かったと思う。「イエスの方舟(はこぶね)」という宗教団体もあり、若い女性信者が中心ということで騒がれた。

　宗教と家族、家族と社会、社会と宗教といったテーマで数々の言説が展開された。昔も今も情況はあまり変わっていないように思われ、問題は残り続けている。

　旧統一教会については高額献金や政党との関係に目が行くが、根本は教義では。「蕩減(とうげん)」や「復帰」という用語の検討で、問題への理解が深まると思う。(北)