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金曜時評

山下知事への期待 県民目線を忘れるな - 論説委員 甘利 治夫

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 山下真知事の初登場となった6月県議会が閉会した。少数与党であることから、知事、議会の双方が手探りの感があり、弁護士でもある山下知事の歯切れのよい答弁が際立った。

 

 「日本維新の会」県代表にも就任し、奈良県における維新政治、そして山下県政のまずは足場固めの段階で、これからが本番だ。

 

 山下知事の誕生は県政史に残る衝撃的な出来事だ。

 

 かつて県政担当記者として、全国最多の8選知事で全国知事会長も務めた奥田良三知事を取材し、車椅子姿での引退会見にも立ち会った。その後の知事選で、当時副知事の上田繁潔氏、同じく柿本善也氏が歴任し、それぞれ任期途中で退陣だったが10年以上務め、参院議員だった荒井正吾氏が、奥田氏以降最長の4期を全うした。

 

 そんな経緯のなかで、5選を目指した荒井氏だが、ご存じの通りの保守分裂選挙で、維新公認の山下知事が誕生した。これまで知事は県出身者で、官僚または副知事経験者であることが、継続を求めた県民に安心感を与えてきたともいえよう。

 

 それだけに山下知事の登場は衝撃的でもあった。

 

 山梨県出身で、しかも「初の民間出身」なので、県政の激変は想像がつく。戦後続いてきた奥田氏以降の大きな流れから、県民が変化を求めた選挙結果でもあった。

 

 山下知事には、生駒市長時代の行政経験もあるから、その期待に応えてもらえるはずだ。知事の退職金の廃止といった「身を切る改革」など選挙戦で示した「奈良維新八策」の公約をどう具体化していくか。そして大阪との連携は当然増えるだろうが、「奈良の独自性」をいかに発揮していくか。県民の「何かしてくれる」という、大きな期待に応えてほしい。

 

 もう一つ。大型事業の中止などが本当に正しいか。これまでに関係市町村と時間をかけ、人的経費をかけて積み上げてきたものを無にしてよいのか。これは議会側にもいえる。前知事時代にこれらを承認してきた。当該議員は「事業の続行」を主張していくのか。また維新と一部自民党議員の連携説も聞こえてくる。談合県政といわれないようにしてもらいたい。

 

 従来の体質に、風穴を開けてきたのが維新であり、山下知事の政治手法であると思う。

 

 山下知事には、立場の違いを超えて多くの人の声に耳を傾け、県政のかじ取りを進めてほしい。知事と議会を県民は見ているし、本紙もしっかり監視していきたい。

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