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金曜時評

大阪・関西万博まで2年 ずっと先ではない - 編集委員 松岡 智

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 新型コロナウイルスに対する規制緩和、感染症法上の位置づけの移行もあり、国内外の行楽地のにぎわいが戻りつつある。そんな中、国際的イベントの2025年大阪・関西万博の開幕まで2年を切った。半年にわたる会期中の来場者は約2820万人が見込まれ、近隣府県などへの経済波及効果も期待されている。ただ会場整備はこれからで、市民の興味関心は今一つ高まっていない。県内も同様の状況だが、国内外から多数の観光客が関西に訪れるビジネスチャンスを見逃す手はない。のんびり構えていては他府県事業者に遅れを取ることにもなる。

 

 もちろん県関連の動きは皆無でない。県内経済団体が県と縁の深い映画監督の河瀨直美さんがプロデュースするパビリオンへの協賛募集を本格化したり、単独や地域グループで万博の諸事業へ参画したりといった企業の取り組みもある。また開催時期に合わせた鉄道会社と経済団体の県内周遊観光が計画され、機運醸成のシンポジウムも開かれている。だがそれらはまだ、大きなうねりではない。2年弱の時間は、計画に磨きをかけ、広く発信し、受け入れ態勢を整えることを平行して進めるとしても決して長くはない。

 

 一方で、万博に対する県の潜在能力は近隣他府県と比べて劣りはしない。会場の大阪・夢洲とのアクセスは鉄道利用でも良好。前知事が整備に力を入れていた宿泊施設も、十分とは言えないまでも手頃な施設からハイクラスのホテルまでそろう。宿泊を伴う旅行者受け入れに何ができるか、県内事業者は個々、グループ問わず早急に検討を進めるべきだろう。

 

 県庁内には現在、万博専門の部署はないが、万博活用に前向きな意向を示す新知事には体制整備が期待できる。もっとも事業者として利益や将来につながる遺産を得ようとするなら、公の動向に関係なく自ら動く覚悟と気概、素早く実行に移す行動力が必要だ。

 

 事業スタッフとして県関連の人材がかかわり、「いのち」と未来を見つめ直す今回の万博は、県や県民にとって遠い存在ではない。歴史文化はもとより漢方やガストロノミーツーリズムなど近年光を当て、育ててきた観光の種もある。さらに想定約350万人の海外入場者に向け、誰もが英語で対応できるエリアが県内でつくれるなら他府県との差別化も図れる。

 

 まだずっと先だと余裕で構えていては好機を逃す懸念は増す。未来社会に残る商いを掲げるなら、前のめりくらいがちょうどいい。

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