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金曜時評

女性議員ゼロ議会 「共同参画」程遠く - 編集委員 辻 恵介

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 都道府県と市区町村の全1788地方議会のうち、「女性議員ゼロ議会」が2022年11月1日時点で257あり、全体の14.3%を占めることが、共同通信の調査で分かった(2月5日付1面既報)。「女性が1人しかいない議会」は437で、両者を合わせると38.8%に上るという。

 

 一方、全在籍議員の女性割合は15.4%で、「政治分野の男女共同参画推進法」(18年5月施行)が目指している均等には程遠い数字だ。各分野で男女共同参画が叫ばれて久しいが、議会分野では、なかなか進まない。

 

 県内を見てみると、40議会中で桜井市、安堵町、田原本町など13市町村で「女性議員ゼロ」(32.5%)だった。全国でゼロ議会の割合が最も高かったのは青森で、41議会中15議会(36.5%)を占めた。奈良はこれに次ぐ数字だ。また「女性議員が1人」は大和高田市、御所市など8市町村あった。

 

 県内の市町村議会では、19年4月の選挙において、王寺町で定数12に対して女性が半数を占めて話題になった。保守的な土地柄だが、大都市の大阪に近いこともあり、女性が、しがらみにとらわれないで活躍することに抵抗が少ないのでは、とみる向きもある。今春の統一地方選では改選があり、どう推移するのか注目される。

 

 女性の社会進出が進む中、どうして女性議員の数が増えないのか―。岸田首相の諮問機関「地方制度調査会」(地制調)は、昨年12月に地方議員のなり手確保を促す答申を決めたが、この中で問題点が挙げられていた。

 

 女性や勤労者の参加が進むように、ハラスメント相談窓口の設置や、育児・介護などとの両立が進むような取り扱いの明確化▽小規模議会では処遇改善に向けた報酬水準の見直し▽夜間や休日の議会開催やオンライン出席▽勤労者が立候補しやすくするため、休暇制度の設置や、議員との副業・兼業を認めることを企業に要請すること―などの検討を求めていた。

 

 今国会では「同性婚の法制化」などが議論になっているが、首相秘書官が差別発言で更迭されるなど、「多様性」を認める世の中の流れを嫌う考え方の人たちが少なからず存在する。

 

 女性議員が増えれば、議会内の風通しも変わっていくのではないか。何事も現状維持の繰り返しでは、成長していかない。

 

 多様性を認め合い、活発な議論を重ねていくことが、世の中をより良い方向へと変えていく力になると信じている。

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