小雨が降る中、たばこを何本も吸いながら…
小雨が降る中、たばこを何本も吸いながらターゲットの組長が出てくるのを待つ。映画「仁義なき戦い」にそんなシーンがあった。
映画の描写が現実になったということだろうか。王将フードサービスの社長だった大東隆行さんが射殺された事件は、暴力団幹部の逮捕で全容解明に向けて動き出した。
捜査関係者によると、現場付近で見つかったたばこの吸い殻の付着物や銘柄が容疑者特定の決め手になったという。事件から9年。京都府警の粘り強い捜査が見えてくる。
逮捕された暴力団幹部は武闘派で知られたヒットマンの一人とされるが、たばこの吸い殻を現場に残したのは不思議な気がする。捜査の進展が待たれる。
県内では7月に安倍晋三元首相の銃撃事件があり、駅前で演説中だった安倍氏の命が理不尽に絶たれた。二つの事件は動機も背景もまるで違うが、銃を用いた暗殺であることに変わりはない。
事件を通して見えてくるのは社会の闇と心の闇だ。背景に何があったのか。悲劇を繰り返さないためにも、闇に目を凝らして深層を見なければならない。(増)