これほど雷をうらめしく思ったことはなかった。日本フットボールリーグ(JFL)の首位攻防戦・奈良クラブ―FC大阪が、後半開始直前に雷雨で中止になってしまったのだ。

　奈良クラブのゲームを観戦するのは久しぶりだったが、会場には早くから大勢の人々が詰めかけ、気温の暑さに負けないほどの熱気に包まれていた。

　観客席には知り合いの酒造会社会長夫妻の姿があった。「どのように座ったらいいのか分からなくて」と戸惑っていた様子からみて、サッカー観戦は初めてのようだった。

　このように、熱心なサッカーファンでなくても、新聞紙面などで地元・奈良クラブの活躍を知り駆けつけた人たちも多かったのではないだろうか。県立橿原公苑陸上競技場は観客3170人の大入り。

　郷土意識が薄いといわれる本県民だが、どうしてどうして、やはりスポーツは勝たなければならない。奈良クラブの選手たちには今後の発奮材料となったろう。

　「県にJリーグのチームを」は悲願である。選手らには、この日の3170人の後押しが、いや130万県民の応援があるのだ。(栄)