安倍晋三元首相が奈良市内で銃撃され、死…
安倍晋三元首相が奈良市内で銃撃され、死亡した事件で、25日、殺人の疑いで送検された山上徹也容疑者の鑑定留置が始まった。奈良地検は11月29日までの予定で山上容疑者の精神鑑定を行い、刑事責任能力の有無などを調べる。
これまでの県警の捜査によると、山上容疑者は1年以上前から手製の銃を製造。試射を繰り返すなど、犯行に向けた高い計画性をうかがわせる。
一方で動機に関しては疑問点も多い。同容疑者は母親が入信している宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」に恨みがあり、「安倍氏が団体とつながっていると思ったから狙った」と供述している。
2019年には、同団体総裁の襲撃を企てるが失敗。その後、コロナ禍で総裁の来日が見通せなくなったので、標的を安倍氏に切り替えたとする。
しかし、標的変更の理由は論理的といえず、高い計画性とは対照的で納得し難い。動機解明に向け慎重な捜査が求められる。
当然、裁判では山上容疑者の犯行時の精神状態なども争点になるだろう。事件の真相解明には、山上容疑者の心の闇に迫る必要がある。(法)