北海道・知床での観光船事故が連日大きく報道されている。県内でも考えさせられる事故が25日に起こった。

　大和郡山市の鉄道踏切で、目の不自由な50代の女性が電車と接触して死亡した。本紙報道によれば、女性は白杖使用者で踏切内にいる認識がなかったらしい。

　自宅近くでも白杖を体の前で小刻みに動かしながら道路を通行する人の姿を時折見かける。だが自身、歩行の補助などを申し出た経験は皆無に近い。

　気にはなりつつ、声を掛けない言い訳がいくつも頭の中を巡る。相手にとって手出しをすることが助けになるのか、余計なお世話なのかも分からないままに。

　踏切事故の状況、要因にはまだ不確かな部分もある。だが白杖を使う人の実相を知ることで、同様の悲しい事故を未然に防ぐ可能性は高まるようには思う。

　事故現場付近では関係者による検証と対策が進行している。他所でも同様の点検と対応が行われることを望む。自分自身としては、次に白杖を使う人を見かけたら嫌がられるのは承知で声を掛けさせてもらうつもりだ。学ぶことに年齢は関係ないだろうから。(智)