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金曜時評

旧民主とどう違う - 主筆 甘利 治夫

 存在感が薄い。

 新型コロナウイルスの第3波といわれる感染拡大が、日々の暮らしに覆いかぶさっているからかもしれない。旧立憲民主党と旧国民民主党などが合流して、名称を同じくする新「立憲民主党」が誕生したが、これまで新党ができた時のような話題にもならない。ようやく県連が結成され、代表には馬淵澄夫衆院議員を選任した。「新党」なのに新鮮さに欠けるのは、あの民主党政権時代のイメージが強烈だからなのか。

 新県連には旧国民所属の地方議員17人のうち11人が参加、旧立民議員は2人が合流している。全員合流とならなかったのは、立ち位置が違うということなのだろう。

 今度の新党は、どうしても「旧民主党が復活」したというイメージが強烈だ。11年前の政権交代は忘れもしない。当時の自民党にお灸(きゅう)を据えるはずが、「政権交代」の大合唱の中で、本当にそうなった。全国もそうだが、奈良でも比例復活を含め4人が当選した。

 政権を担った3年間に鳩山、菅、野田の3氏が首相の座に就いたが、次の選挙で民主党は大敗し、自民党の安倍氏が首相になった。その安倍氏は今年退陣するまで歴代最長政権でもあった。

 民主党政権を、国民が見抜いたともいえる。予算の裏付けのない理想論では何もできない。「コンクリートより人」というキャッチフレーズを覚えていると思うが、東日本大震災で、人命を守るためのコンクリートの大切も知った。「どこかに無駄がある」と公開による事業仕分けもした。「高速道路の無料化は絶対にできる」と、何度も聞かされた。

 この3年間、国民も下野した自民党も、何より民主党自身が、政権担当責任を一番学んだはずだ。下野後、党名変更や分裂を繰り返し、今また「立憲民主党」という大きな野党になった。「何でも反対」といわれた昔の社会党のことを思い出してしまう。

 新県連の代表に就任した馬淵氏は、大臣経験もあり、党首選にも出馬しているベテランだ。民主党を離れ、希望の党、無所属、国民民主党を渡り歩いた経緯も県民は見てきた。

 当時の馬淵氏とどう変わったのか。政権奪取を狙うなら、批判だけでなく、国民が共感する対案が求められる。本当に国民目線で仕事をしてくれるのかどうか。安倍前首相の周辺も慌ただしい。菅義偉首相もコロナ禍で厳しい局面にある。一皮むけた馬淵氏を見たい。

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