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金曜時評

地方組織の強化を - 論説委員 増山 和樹

 立憲民主、国民民主両党などが合流して結成する新党は枝野幸男氏が代表に選ばれ、15日の結党を待つことになった。党名は立憲民主党と決まったが、同じ15日には玉木雄一郎氏らがこちらも旧党名と同じ国民民主党を結成するとあって、「新党」とはいえ新鮮みに欠ける。衆参合わせて約150人の大所帯となる新「立憲民主党」が、政権の有力な対抗軸であることを、国民が実感できる形で示す必要がある。

 自民党の総裁選は、安倍後継を掲げる菅義偉氏の当選が確実視され、16日の臨時国会で新首相に選出される見込みだ。枝野氏は「自分勝手な都合で本格論戦から逃げ、衆院を解散するなら正面から受け止めて国民の選択肢になる」と強調したが、県内を見る限り、一致結束して戦える状況とは言い難い。分裂騒ぎに発展した大合流に、地方議員が戸惑いを隠せずにいるのが実情だろう。

 県内の地方議員数は、国民民主党が立憲民主党を大きく上回る。9日に開かれた国民民主党県連の常任幹事会でも、新党でイニシアチブを取るよう求める声が上がったという。両党の解党から15日の新党結成への流れの中で、地方組織も解体、再編成を迫られる。国民県連の藤野良次代表は「合流新党に参加する方向で県連としてはまとまっている」とする一方、所属の地方議員の意向を一人一人確認する方針だ。

 地方議員には中央とは異なる事情もあり、中央の動きに左右されることへの反発もある。合流新党の綱領案に「原発ゼロ」が盛り込まれたことで、連合傘下にある民間労働組合出身の議員の立ち位置も微妙だ。中央では組織内の国会議員9人が合流新党への不参加を決めた。新「立憲民主党」に県内でどれだけの地方議員が参加するのか、現段階では未知数と言え、新「国民民主党」と大きく割れる可能性もある。

 解体した両党の県連組織が新たに発足するのは新党結成からしばらく先とみられ、新首相が早期の衆院解散に踏み切るなら、衆院選は地方組織が未整備のまま戦わねばならない。県1、2区は自民党現職に挑む形で激戦が予想され、3区はいまだ候補者さえ決まっていない。

 安倍政権は自民1強の時代であり、旧民主党政権の崩壊に端を発する野党多弱の時代でもある。党中央が地方と分離した空中戦で政権交代は望めない。新党が新政権と互角に対峙するには、地方組織の強化が欠かせない。

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