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国原譜

森川杜園は幕末から明治に奈良で活躍した…

森川杜園は幕末から明治に奈良で活躍した彫刻師。奈良人形の中興の祖と称されるが、晩年には正倉院宝物や法隆寺の仏像などの模造にも妙技を発揮した。

 優れた美術品を模倣した作品を「写し」と呼ぶ。杜園の写しは姿や形だけでなく、精神性までの写し取ったような名品と評価される。

 一方、同じ時期に杜園の名品を焼物で表現しようとしたもう一人の天才がいた。「奈良人形写」の作品を数多く残した赤膚焼の名工・奥田木白だ。両者の直接の交流は確認されていないが、活動時期は近く、互いに刺激し合っていたと想像できる。

 美術の世界では独創性が重視されるが、古人の優れた作品を後世に伝えることも重要だ。その意味でも、写しは日本が誇れる文化の一つだといえる。

 今年は杜園の生誕200年、来年は木白の没後150年。くしくも優れた写しの作品を残した大和の名工2人の節目が立て続けにやってくる。

 奈良市中新屋町の「奈良町にぎわいの家」では、杜園の生誕200年を記念した作品展を14日まで開く。大和が誇る名工と写しの文化が見直される機会になれば。(法)

 

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