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国原譜

奈良には大医王とも称される薬師如来を初…

 奈良には大医王とも称される薬師如来を初めて祭った寺がある。藤原京に営まれた薬師寺だ。天武天皇が皇后の病気回復を願って発願した。

 皮肉なことに先に世を去ったのは天武天皇で、造営事業は即位した皇后、持統天皇に受け継がれた。完成したのは孫にあたる文武天皇の時代だった。

 藤原京が本薬師寺、平城京に移った現在の伽藍(がらん)は薬師寺だが、もう一つ、奈良市には新薬師寺がある。

 こちらは文武天皇の息子である聖武天皇の病気回復を願って光明皇后が発願した。7体の薬師如来像を安置したとされる巨大な金堂跡が奈良教育大学の構内で見つかったのは平成20年のことだった。

 西国四十九薬師霊場会が、新型コロナウイルスの早期終息を祈願し、ユーチューブで公開した。新薬師寺の国宝本尊も写し出され、画像に手を合わせた人もいたことだろう。

 天武天皇の発願に始まる壮大な祈りの連鎖が三つの薬師寺をつなぎ、後の薬師信仰に発展した。薬師如来の縁日は毎月8日。今はそれぞれ祈るしかないが、大勢がにぎわい集う日が、近く訪れると信じたい。(増)

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