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国原譜

「ぼくの人生、不要で不急なものたちで溢…

 「ぼくの人生、不要で不急なものたちで溢れている」―。先日、ある写真家がツイッターでつぶやいた。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国などは「不要不急な外出の自粛を」と呼び掛けた。文化芸術は「不要不急」と見なされ、各地で博物館や劇場などが休館となり多くのイベントが追い込まれた。

 人々にとって文化芸術は本当に不要不急なものなのだろうか。自宅からの外出もままならない生活の中、映画や音楽、本などで心を和ます人たちも多いはずだ。

 今すぐに博物館や劇場を開くべきだと言うつもりはない。しかし、自粛により生活のすべを失った担い手たちに支援の手を差し伸べないと、日本の文化芸術は滅びてしまう。

 文化芸術分野への大規模支援を行うドイツの文化相は「アーティストは今、生命維持に必要不可欠な存在」と断言したという。それに比べ、わが国は具体的な文化芸術分野への支援策もなく、政治家たちからのメッセージの発信もない。

 人はパンのみにて生くるものにあらず。こんな時期だからこそ、「不要不急なもの」を愛したい。(法)

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