国原譜

 冷え込んだ日もあったせいか、今年の桜は長持ちした。夜の風雨でもうだめかと思った翌日も、しっかり花をつけていた。

 新型コロナウイルスの感染拡大で花見もままならない春となったが、変わりなく美しい花を咲かせた桜を慈しむように、日差しの中を歩く人の姿は県内各地で見られた。

 平清盛の弟、忠度(ただのり)は、一ノ谷の戦いで敗れて落ちる途中、平家の公達(きんだち)とばれて討ち取られたが、矢を入れる道具に結んだ手紙に歌をしたためていた。

 「行き暮れて木の下かげを宿とせば花や今宵の主ならまし」。源氏に追われて都を離れ、遠く九州の地から再起を期す旅が続く中で、桜の花に安らぎを求めたとされる。

 楽しい時は楽しいように、苦難の中ではまた違った気持ちで、人々は満開の桜を愛でてきた。安倍晋三首相はきょうにも緊急事態宣言を出すとみられ、新型コロナ対策は新たな段階に入る。

 満開の花の間には青葉も姿を見せ始めた。やがて枝を覆い、新緑の季節がやってくる。出口が見えないように思えるこの闘いも、終わりは必ず訪れる。(増)

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