金曜時評

成果を残す大会に - 論説委員 松井 重宏

 第10回の節目の大会となる「奈良マラソン2019」が、あす7日と8日、奈良市法蓮佐保山のならでんフィールドを主会場に開催される。平成22年の平城遷都1300年記念事業を機に始まった「ビッグイベントの遺産」の一つ。同記念事業では催しを一過性の「お祭り騒ぎ」に終わらせない取り組みが強く求められたが、毎年2万人近いランナーが集う奈良マラソンの開催継続は、大きな成果といえるだろう。

 それともう一つ、実績を挙げているのが記念事業の式典も行われた平城宮跡の国営公園化。同史跡は学術的な発掘調査が着実な成果を挙げる一方、広い敷地を生かし切れていない面もあったが、平成20年度に国営公園としての整備が事業化され、遷都1300年を機に保存と活用に向けた取り組みが本格的に動き出した。現在は朱雀門、第一次大極殿に次いで大極殿院南門の復元事業が行われており、昨春にオープンした「朱雀門ひろば」の整備も続けられている。

 いわゆる「地方博」など大型の催しが地域振興の起爆剤としてもてはやされた時代とは違い、県も厳しい財政運営を強いられている中で行われた100年に1度の遷都記念事業だったが、無駄な投資を避けながら各催しとも人気を集め、事後には奈良マラソンと平城宮跡歴史公園という確かな「遺産」を残した。

 いま県内では次のビッグイベント、2巡目となる国民体育大会の開催案が浮上している。昭和59年に開かれた「わかくさ国体」で使われた各施設は既に老朽化が著しく、総合開会式などを行う主会場や各競技会場の整備が大きな課題となるが、ここでも「わかくさ国体」が残した人材や競技力などソフト面の「遺産」の掘り起こし、活用が鍵を握りそうだ。

 国体開催の年はまだ決まっていないが、令和11年の島根県、15年の鳥取県の間、3年間が開催地未定で残された枠となっており、ブロック別の順番から県開催は同12年が最右翼か。荒井正吾知事は主会場を担う県立施設の新設に前向きで、県立橿原公苑と橿原運動公園の交換による用地確保案を提示。来年以降、計画が具体化する可能性も出てきている。

 ハード、ソフト両面の準備期間を考えれば、もう余裕はあまりない。平城遷都1300年記念事業の成功事例を良い教訓に、次代へ残していける施設、競技力、そして地域のスポーツ文化など明確な目標を立てて、次期国体開催の準備を始めたい。

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