金曜時評

県民参加で議論を - 編集委員 高瀬 法義

 昭和59年の「わかくさ国体」以来となる国民体育大会(国体)の県内開催に向け、県が動き始めた。荒井正吾知事は6月、2巡目の国体開催年を令和12~14年の3年間のいずれかを候補とし、県営の橿原公苑と橿原市営の橿原運動公園の施設、敷地を交換して必要な施設整備を行う案を明らかにした。

 橿原公苑は陸上競技場や野球場、体育館などの施設を備えるが、日本陸連の第1種公認取得に必要な400メートルトラックを持つ陸上の補助競技場がなった。そのため、わかくさ国体も平成21年のインターハイ(近畿まほろば総体)も開会式は基準を満たした奈良市鴻ノ池陸上競技場に頼らざるを得なかった。国体開催に必要な各種施設整備に向け、手狭な橿原公苑では新たな用地確保が難しいが、約3倍の敷地面積(29・37ヘクタール)を持つ橿原運動公園なら可能だ。

 しかし、知事の案が示されると、地元の橿原市議会からは反発の声も上がった。同市は体育施設とともに防災拠点として多額の費用をかけて同公園を整備してきた。市民の憩いの場として定着し、簡単には応じられないだろう。今後の県と市の協議が注目される。

 国体については全国的に開催の意義自体の議論が起こっている。各都道府県の持ち回り開催のため、開催地に重い財政負担がかかる。さらに、開催地の至上命題となっている都道府県対抗の天皇杯獲得のための選手強化にも多額の費用が必要だ。にもかかわらず、トップクラスの選手の出場が少なく、国民の関心は以前より低くなっている。

 その一方で、開催地のスポーツ振興に役立つとの意見もある。本県でもわかくさ国体で多くの体育施設が整備され、その時の選手たちが指導者となり県のスポーツを支えてきた。2巡目の国体開催も、他に比べて見劣る県のスポーツ施設の整備推進や競技力の向上につながることが期待される。

 それでも財政面から考えると今まで通りの方式では限界があり、無駄を削ってスリム化しなければならない。大切なのは誰のため、何のための大会かを忘れないことだ。国体の最も重要な目的は県勢誇示でも経済効果でもなく、国民、県民のスポーツ振興と健康増進への貢献だろう。一過性に終わらず、国体の「レガシー」を生かした長期的な取り組みが必要だ。

 そのためには一般県民が国体に無関心であっては意味がない。開催まで約10年間、一部の競技団体や行政関係者だけでなく、広く県民を交えた議論が求められる。

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