ハム類の詰め合わせをいただいた。量が多く2人暮らしのわが家では賞味期限の1カ月内で消費できない。こういう時、昭和の時代なら、近所におすそ分けしていたのではなかったか。

　高度成長前を描いた映画「3丁目の夕日」の世界である。物資的には豊かではなかったが、相互扶助の濃密な近所付き合いがあった。

　今は農村部はともかく、新興住宅地や都市部のマンションでは、隣との付き合いがまったくないのも珍しくない。いきなり、おすそ分けに訪れても警戒されるだけだろう。

　希薄になった地域コミュニティー。河合町議会がこのほど、「マナーアップ基本条例」を可決した。ごみ屋敷や騒音、悪臭、受動喫煙などの「ご近所トラブル」に対応する。

　マナーアップが求められる事柄が発生したり、常設する推進協議会の意見や提言に基づき、町が個別の条例を制定するなどの措置を講ずる。

　トラブルがこじれて社会問題化することも少なくない。解決に向けて迅速に対応できる条例だ。ただ、昭和の近所付き合いが恋しい気もする。時代は平成も終えようとしているのに。(栄)