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国原譜

興福寺は常に天平回帰を目指 …

 興福寺は常に天平回帰を目指してきた。今回の中金堂再建もその流れの中にあり、5日間にわたる落慶法要の参列者は歴史の瞬間に立ち会ったといえる。

 天台宗総本山延暦寺の天台座主による法要も歴史的な出来事だ。歴史上、天台座主は中金堂落慶法要に2度参列し、今回は室町時代以来約600年ぶりとなる。

 「南都北嶺」と称された両寺は平安時代以降、教義の正当性などを巡り対立。大衆や衆徒と呼ばれた僧兵が互いの関連寺院を攻めたこともあった。

 また、平安時代末、延暦寺は南都焼討ちを行った平氏と良好な関係を保った。一方、興福寺は戦国時代、延暦寺を焼いた織田信長に支援を受けたとされ、両寺の歴史は少々複雑だ。

 法要当日の興福寺境内はやや緊張した雰囲気に包まれていた。参列者の一人は「座主の表白にあった『北嶺の大衆』という言葉に緊張した」と苦笑い。

 しかし、対立の歴史も今は昔。耳慣れない天台声明の調べは思いの外、荘厳な中金堂と調和し南都の空に響いた。興福寺と奈良が持つ歴史の懐の深さを感じた1日だった。(法)

 

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