注目記事山下県政 世論調査の全結果掲載

国原譜

満面の笑みに、こちらまでうれしくなる。…

 満面の笑みに、こちらまでうれしくなる。一連の中金堂落慶法要が結願した多川俊映・興福寺貫首の表情には、苦難を乗り越えてきた思いが見てとれた。

 創建から1300年、そして中金堂焼失から300年という、長い歴史のなかで、悲願の再建でもあった。焼失を繰り返し、実に7度も焼失している。

 かつては幕府などの時の権力者によって再建されたが、300年前の徳川幕府は手を差し伸べることもなく、明治の廃仏毀釈や第二次大戦など厳しい時代を過ごした。

 五重塔が数十円で売りに出された、という逸話まである。ご承知の通り、興福寺と奈良公園は一体となっており、他の社寺のような寺を取り囲む塀もない。

 40年ほど前の、執事時代の多川貫首と語りあった。「国宝、重文が数多くあるのに、囲いがないから夜中に境内を歩く人がおり心配だ」と話すとともに、伽藍(がらん)復興の思いを熱く語った。

 興福寺の中心となる中金堂の再建で、境内の本格的な整備が始まる。「明日からまた次に向けてスタートです」と、結願のあいさつにも熱がこもっていた。(治)

 

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