特集2024年春の高校野球奈良大会速報

金曜時評

速やかに擁立せよ - 主筆 甘利 治夫

 昨年の総選挙で、3年3カ月ぶりに自公政権が復活したが、参院では過半数を割っているため、ねじれ状態が続いている。今夏の参院選は、そのねじれを解消して安定政権になるのか、そのままねじれ状態が続くのか、各党が総力を挙げた戦いとなる。

 改選定数1の県選挙区においても、自民、共産と政治団体の幸福実現党の3新人が立候補を表明しており、日本維新の会もあす30日の党大会で公認候補を発表する予定だ。それだけに3回連続して県選挙区を制してきた民主党が、いまだに候補者を決められないのが気になる。それだけ総選挙の結果が重かったといえるし、後遺症が大きいのだろう。

 一度は政権の座にあった同党なのだから、再び政権を目指すべきだし、一日も早く再建を進めねばなるまい。政権を担っていたころの党所属の地方議員らは、誰もが自信に満ち、はつらつとしていた。国家、国民への責任感さえ満ち満ちていた。ところが最近はどうか。かつての「気楽な野党時代」に戻ってしまったようだ。

 こうしたなかで、参院選と同日選挙となりそうな県都・奈良市の市長選が活気を帯びてきた。

 すでに現職の仲川元庸氏(無所属)が出馬表明し、続いて無所属新人の元市議会副議長の池田慎久氏、そしてみんなの党と日本維新の会の推薦で県議の浅川清仁氏が、それぞれ立候補を表明した。これに自民党や共産党が候補者の擁立を急いでおり、やはり民主党も対応を迫られている。

 自民党がはっきりしないだけに、構図が決まらず混戦模様となっているが、表明した3氏周辺も模索状態だ。

 仲川氏は、前回選挙で、政権奪取を狙う民主党と連動し、その勢いで無名の新人ながら初当選を決めた。あの勢いは今でも記憶に新しい。しかし、4年間の庁内外の息苦しさはどうしたものか。議会対応や庁内の幹部職員との意思疎通を欠いた。建前が多くて、事前の詰めが甘く、行政の停滞を招いたのもしばしばだ。当初は民主党もアドバイスしていたようだが、関係が希薄になったように思える。

 推薦した民主党と距離ができたために、前回選挙と態勢も違ったものとなりそうだ。「民主の風」だったと言われたくないだろうが、昨年の総選挙でどんな民意が示されたか、前回とは様相が一変していることを知らねばなるまい。

 池田氏は、市議選で5期連続トップ当選してきた選挙上手だ。議会では現職の仲川市長の政治姿勢を問う急先鋒でもあった。満を持しての出馬表明でもある。しかしながら、これまでの議員活動はどうか。一昨年の議長選をめぐり、逮捕された元議長と同じ「政翔会」に属し、同派所属議員の体質が厳しく批判された。また池田氏自身も、元市長の税金滞納問題で、市の内部資料を流出させたとして逮捕されている。それだけに、これまでの経歴を含めた資質が問われることになろう。

 全国初となるみんなの党と日本維新の会の首長選での共同推薦となった浅川氏は、参院選と連動した形になるだけに、注目される。ただ政党としての維新の会の姿が不透明なことが気になる。ましてや「政翔会」が「奈良維新の会」に合流するという、不可解さは、市民に説明できるのかどうか。ただ勢いがあるだけに、台風の目になることは間違いない。

 それだけに、政権与党の自民、公明両党の責任が問われる。県都の市長候補を速やかに擁立すべきだろう。市民は候補者一人一人をしっかり見ていく。

 

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