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金曜時評

閣僚報酬カットを - 編集委員 水村 勤

 円高が連日進む中、思い切った緊急経済対策が進まない民主党連立政権であるが、小沢一郎元幹事長が党代表選挙に出馬する意向を表明したことから、政局は大きな波乱を呼ぶこととなった。

小沢氏の現執行部批判は時折り話題となっていたが、どう政策運営をしたいのか、つまびらかにはなっていない。立候補によって自らの政見を明らかにするのだろう。その点だけはすっきりする。しかし、参院選の敗北後、国民生活を第一に国力を盛り返す論議は“不発”。時間だけが費やされた。反省を求めたい。小沢氏については別途、「趣味は不動産取引」ともいわれている「政治とカネ」の問題に対して国民にきちんと釈明すべきである。

 円高対策は急務だが、一方で国の借金は900兆円を超えた。国債と借入金、政府短期証券を合わせると6月末時点で904兆772億円に上る。バブル経済の崩壊前後から実施した経済対策のための国債の大量発行が足を引っ張っているという。未曽有の大借金を抱え財政難の中、どう国を立て直していくか。菅直人首相も小沢氏も、当事者としての決意を示さなければならない。

 学ぶべき先例は歴史にも地方にもある。ここで想起するのは、江戸中期の名君として知られる米沢藩主の上杉鷹山だ。質素・倹約と殖産興業の原点に立ち返ることだ。鷹山公に習い、新代表となる首相は閣僚報酬のカットを閣議決定し、従わない閣僚は内閣から退場してもらおう。国会議員をはじめ、年収1000万円以上の国家公務員、政府関係機関の職員にも従ってもらうべきだ。

 国家予算の人件費を大幅に抑え、カットした人件費をすべて内需拡大策に上乗せする。首相は財政再建と経済再生にかける気迫を全世界に見せつけることだ。政治生命をかける価値はある。馬淵澄夫副大臣や中村哲治政務官をはじめ、県関係の国会議員も代表選での立場を明らかにするだけでなく、報酬カットについてもぜひ、積極的に発言してほしい。

 本日付の本紙「雑記帳」で大和郡山市の新藤公子さんは「国会議員の報酬引き下げよ」と主張するみんなの党に対し、仙谷官房長官が「足を引っ張り合うのはどうか」と応じた発言を取り上げ、「“隗(かい)よりはじめよ”で行かなければならないのに」と指摘をするが、全く同感だ。

 25日には奈良をはじめ33都道府県にある自治会などでつくる「全国自治連合会」が政府と主要政党に対し、国会議員の定数削減と地方議員定数の上限引き下げを求める要望書を提出した。行財政改革が道半ばの現状を打開するタイムリーな提案と思う。

 日本政府という器を一つの会社として見れば、900兆円を超える途方もない借金で本来は倒産してもおかしくない。経営陣がまず身を削り、幹部社員にも言い聞かせるのが、不採算の会社が立ち行く唯一の道。勇猛心を持って民主党が“範”を示す時が来ている。

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