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奈良・御所市で違法「わな」に地域ネコかかる 寒さの中で動けず、保護後に死亡

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ネコの前足がかかったトラバサミ=13日、御所市小殿(山本秀子さん提供)

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 田園が広がる奈良県御所市小殿で13日、動物捕獲のわな「トラバサミ」に足を挟まれたネコが見つかった。地元住民によると、発見現場は特定の飼い主がいない「地域ネコ」が集う場所。原則、トラバサミでの狩猟や捕獲は許可されず、同市担当者は「公道や不特定多数の人が出入りする所にわなの設置はできない。トラバサミは動物や人にけがを負わせる可能性が高いので、見つけた時は警察などに連絡してほしい」と話している。

 

 トラバサミは動物の足などを挟んで捕らえるわな。狩猟対象外の動物の被害が後を絶たず、2007年4月から原則、鳥獣保護管理法などで狩猟での使用が禁止になった。

 

 ただ、現在も一部のホームセンターやインターネットで販売しており、使用される例もある。のこぎりのような尖った歯がなく、開いた状態で直径12センチ以内、衝撃緩衝装置を付けたトラバサミに限り、害獣駆除などの目的でやむを得ない事由に限定して使用が許可されることがある。また、ドブネズミ、クマネズミ、ハツカネズミの捕獲は許可不要で使用できる。

 

 公道や不特定多数の人が出入りする所でのわなの設置は原則禁止。獲物が公道にはみ出した時でも、公道での狩猟とみなされる。

 

 ネコは13日午前11時50分ごろ、民家のそばで発見。直径約7センチのトラバサミの歯は、ゴムなどの衝撃緩衝材や隙間がなく違法な形状で、ネコの前足に深く喰い込んでいた。さらに、トラバサミのチェーンが電柱の支柱に絡まってしまい、寒い中、ネコは動けずに瀕死の状態だったという。

 

 近隣住民で動物愛護団体「小次郎BOX」(奈良市)の山本秀子代表理事が救助して介抱したが、その日の夜息絶えた。

 

 山本さんは「春に近所の飼いネコが生んだまま、引き取られなかった雌ネコです。『地域ネコ』として近隣の理解を得て不妊手術し、ゴミを荒らさないよう毎日餌(えさ)をあげてフンも処理していた」とし、「もし仮に、誰かが故意にわなを置いたなら許せない。トラバサミは誰でも購入できるので、もっと規制してほしい」と胸を痛めていた。

 

 県警などによると、県内で同様の事例は今年の春以降ないという。高田署(朝山昭彦署長)は、「現場周辺への聞き取りなど必要な捜査を進めていく」としている。

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