かつての日常まだ遠く 奈良、対策緩和初日 - 新型コロナ
政府が新型コロナウイルス対策を緩和し、屋内外問わずマスクの着用が個人の判断に委ねられるようになった13日、緩和初日ということもあってか、奈良市の中心市街地ではほとんどの人が従来通りマスクを着用していた。これまでマスク着用を求めてきた店舗などでも模様眺めのところもあり、「マスクなし」の人々の姿が見慣れた光景となるのは、まだ先のようだ。
奈良市の近鉄奈良駅前のバス停では、バス待ちの人々は一様にマスクを着用したままだった。同市の介護職の30代男性は「屋外で周囲に人がいない時はマスクをずらすかもしれない。ただ、仕事での利用者のことも考えると、今後もマスクは着用しておくつもり」ときっぱり。
同市の50代女性も「仕事でも人と接する機会が多いので、外出時は常にマスクをして外食も控えてきた。『5類』になっても治療や検査には時間もお金もかかる。しばらくマスクを外すつもりはない」と話した。
店舗関係では対応に温度差がある。奈良市内の和食店の男性店主(60)は「消毒用アルコールの設置や、発熱者への対応などはこれまで通りだが、大声の規制や黙食などは求めず、マスクなしのお客さんも受け入れていくことになる」と説明。
同市内外で数店舗を展開する生活雑貨店は「自社ビルの店舗はスタッフはマスク着用だが、来店者については個々の判断に委ねる。他のビルに入居している店舗については各施設の判断に準ずる」と語った。
一方、これまでマスクの着用をはじめ、黙食などを徹底してきた同市内の飲食店は、明確な方針を決めかねている。30代の男性店主は「狭い空間なので、時間帯によってはマスク着用や大声を控えてもらうように求めることがあるかもしれない。状況を見ながら対応していきたい」と話す。
施設関連では、はっきりとした対応もみられる。コワーキングスペースもある奈良市創業支援施設「BONCHI」は、「市の方針に沿って、マスク着用は利用者個人の判断に委ねる」とする。ただ、イベントなどは主催者の判断にまかせるとし、自主イベントについては来場者が不安にならないよう諸条件を考慮して検討するいう。
また、冬の休園期間を終え、今月11日に営業を再開した生駒市の生駒山上遊園地でもマスク着用は個人の判断にまかせるとしている。「家族連れの多い施設なので、子どもたちが笑顔になれるように互いに配慮して楽しんでもらえれば」と願っていた。