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奈良「十津川の大踊」文化遺産登録、活力に 地域の伝統継承へ弾み

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無形文化遺産への登録が勧告された「十津川の大踊」=2010年、十津川村武蔵

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産への登録が勧告された風流踊。奈良県十津川村では1989(平成元)年に国の重要無形民俗文化財に指定された3地区(小原、武蔵、西川)の「大踊」が風流踊の系譜をひき、今回の勧告に含まれた。

 

 先祖の霊を迎える盆の期間(8月13~15日)の夜、地区住民や帰省した若者らが先祖を供養し、集い楽しむ盆踊り。大踊以外にもさまざまな伝統の踊りがあるが過疎・少子高齢化に伴う後継者不足で保存と継承は大きな課題だ。昭和の頃は約50地区で行われていたが現在は10地区に減った。さらにコロナ禍でほとんどの地区が3年連続で盆踊りを中止した。

 

 この間、各地区の盆踊り保存会は文化庁の援助も受け、有識者をまじえた「十津川盆踊り継承委員会」をつくって映像記録や資料を残すなどした。今年7月には約9分に編集した番組「十津川の盆踊り」をインターネット上の動画共有サイトで公開し、世界に発信した。村文化協会の佐古金一会長(74)は「若い人が減り、伝統文化を維持することに苦労しているがユネスコ文化遺産登録を大きな活力にして後世に残していきたい」と話す。

 

 何百年と踊り継がれた歴史を振り返ると、険しい山間地で山仕事や農作業を営んだ先人たちの苦労もしのばれる。優美な踊りは村民の誇りで、皆が一緒に踊る時間の楽しさは格別だ。「感染症対策をして来年こそは盆踊りができるのでは」と佐古さん。各地区の踊りが一カ所に集まるイベントもあり「ぜひ気軽に参加してほしい。輪になって一緒に楽しく手を振って踊ればいいんですよ」と再開を心待ちにしている。

 

 一方、小山手修造村長は今後のインバウンド再開も見込み、世界的な認知度の高まりに大きく期待。「ユネスコの無形文化遺産へと新たにご指定いただいたことは、十津川村としても、ありがたく、大いに誇りとするものであります。改めて伝統文化の保護・伝承と地域活性化を強く促すべく様々な取り組みを展開してまいります」とコメントした。

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