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バンビシャス奈良 本当にB1に昇格できるの?【2】

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公開練習のため入場するバンビシャス奈良の選手

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 現在7勝25敗でB2西地区最下位の7位。今年に入ってからはフェルナンド・カレロ・ヒルHC(ヘッドコーチ)の契約解除に続き、選手13人が新型コロナウイルス感染症の陽性判定を受けチーム活動がストップするなど、バンビシャス奈良はチーム発足以来、最大級の危機に直面している。

 

 「3年でB1昇格」の目標を掲げて2年目となる今2021―22シーズン。しかし現状は、コロナ禍の措置として今シーズンの降格はないものの、通常ならばB3落ちも視野に入れなければならないほどの低迷ぶりだ。目下12連敗中のバンビシャス奈良に今シーズン残された試合数は28。目標のひとつにした「過去最高勝数24を超える」をクリアするには18勝を挙げる必要があるなど苦しい状況が続く。             【有賀 哲信】

 

 

 

<2月12日の土曜日、20日ぶりにファンの前に>

 

 この日、2月唯一のホーム戦としてロートアリーナ奈良で越谷アルファーズと対戦を予定していたが、越谷スタッフに新型コロナウィルス感染症の陽性者が出て選手が濃厚接触者となったため、試合当日になって中止が発表された。

 

 そこでバンビシャス奈良は急きょ、同アリーナでのファンを前にした公開練習を企画。練習の最後には特別指定選手として1月に契約した高岡圭汰朗(22)=シューティングガード/スモールフォワード=、中沢海斗(22)=ポイントガード/シューティングガード=2選手の紹介も行った。

 

 

 チームは7日から練習を順次再開。全選手が練習に参加できるようになったのは公開練習前日の11日だった。越谷アルファーズも選手に陽性判定者が出るなどして1月8、9両日のゲームが中止になり、2節分4試合を行ったものの、2月2日から再び中止を決めていた。

 

 バンビシャスの藤高宗一郎キャプテンは「試合ができないことは残念だが、全員がそろわず8、9人で戦わなければならない状況だったので、(コロナ開けの)初戦が1週間伸びたことはポジティブに考えたい」と話した。

 

 公開練習で行った、ゲーム形式の5対5練習も「久しぶり」(藤高)で、ファンに向けたサービスという面を持ちつつも、選手らは遠ざかっていた試合勘を取り戻そうと真剣に取り組んでいた。

 

 

<残り28試合をいかに戦っていくのか>

 

 

 バンビシャス奈良が最後に勝利したのは昨年12月11日に山形県で行われた山形ワイヴァンズとのアウェー戦。ホームでの最後の勝利は同11月27、28両日、ロートアリーナ奈良で行われた青森ワッツとの2連戦で、今季唯一の連勝だった。

 

 今シーズンは昨年に続きコロナ禍による入国制限で、各チーム外国籍選手の確保と調整に苦労した。バンビシャスでも当初予定していた外国籍選手3人のうち、シーズン最初から合流したのはグレッグ・マンガーノのみ。ひとりは試合出場前にケガで契約解除になり、クリス・オトゥーレは入国したものの、家庭の事情で一時帰国し、試合出場は12月からになった。

 

 前半戦の低迷ぶりについて、外国籍選手のアクシデントが響いたのではないかと質問すると、神田悠輝GM(ゼネラルマネージャー)はそれを言下に否定した。

 

 「各チームが外国籍選手で苦労する中、うち(バンビシャス奈良)が有利だったことのほうが多かったのではなかった。むしろ勝たなければならない試合を落としてしまった」(神田GM)。

 

 それでは、なぜここまで負けが込む結果になったのだろうか。神田GMは「フェルナンドHCの目指すべきバスケットが選手たちに浸透させきれなかった」と見る。フェルナンドHCはスペイン出身で世界のバスケット趨勢を熟知してる。外からの攻撃を多用するヨーロッパ流のプレーを取り入れたが、その戦術を選手たちはしっかり落とし込めなかった。

 

 「このままフェルナンドHCの指揮で戦っても、後半、苦しい30試合が待っているのは間違いなかった」とチームフロントは、フェルナンドHCとの契約解除という苦しい決断を選択した。

 

 HC解任は選手らに衝撃を与え、その意味するところも充分理解していた。「HCが求めているものをボクたちが遂行できなかった。責任を感じている」(藤高)。

 

 そのフェルナンドHCに代わり指揮をとるのが、12月まで青森ワッツを率いた堀田剛司新HCだ。かつて広島ドラゴンフライズがB2からB1に昇格したときにHCを務めた経験がある。しかし、今シーズンの青森ワッツがバンビシャス以上に低迷していることを考えると、不安を感じるファンも少なくないだろう。

 

 「広島での経験より、むしろ今シーズン、うち以上に苦しい状況の青森で戦ってきたことを評価したい。ある意味、選手の状況としてはうちのほうが恵まれている。いろいろなことが試せて、やりやすく感じてもらえるのではないか」と神田GMは期待する。

 

 選手の新型コロナウイルス感染で一時中断を余儀なくされたものの、ともあれバンビシャス奈良の後半戦が本格的にスタートする。新HC指揮の下、チームの戦いぶりはどう変わっていくのか。

 

 神田GMは「基本的にはフェルナンドHCが築いてきたものをベースにオフェンス、ディフェンスをもう少しシンプルに組み立てていく。これまではHCの号令で選手が動いてきたが、もう少し選手が主体となって試合運びができるようにしたい」と話す。

 

 「お客さんの『なんだかなぁ』という気持ちは伝わってきている。後半戦も厳しく、何勝できるのかはわからない状態だが、しかし苦しい状況でもチームを続けていかなければならない。来シーズンは降格制度も復活する。次シーズンに向けて1つでも多く勝ちを挙げられるように修正していくしかない」(神田GM)。

 

 現在B3のアルティーリ千葉、長崎ウェルカの、来シーズンB2昇格は濃厚だ。そうなると両チームとも、現状のままでなくB1に上がっても戦える陣容を整えてくるだろう。来シーズンの「B1昇格戦線」はかつてないほどの苛烈を極め、バンビシャス奈良の「3年でB1」計画はほとんど頓挫したと言ってもよい状況だ。

 

 地区最下位、シーズン中盤でのHC契約解除、そして新型コロナウイルスの感染拡大でチーム活動が中止に追い込まれるなど、バンビシャス奈良は苦境に立たされている。すべてはシーズン最初に掲げたスローガン「Be AMAZING!」(驚き・感動)を実現させるためのお膳立てとなるよう、バンビシャス奈良の後半戦の奮起を静かに見守りたい。

 

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