考古学
三者連携を評価 - 現地公開に考古・歴史学16団体参加 「同時調査の成果」意義/宮内庁と橿考研、奈良市教委のウワナベ古墳調査

奈良市のウワナベ古墳(宇和奈辺陵墓参考地)の発掘調査は宮内庁と県立橿原考古学研究所(橿考研)、同市教育委員会が実施した。同庁と都道府県、市区町村の三者による同時調査は初めて。20日には研究者に現地が公開され、参加者からは調査の成果とともに、三者が連携した調査手法を評価する声が上がった。
陵墓参考地は原則外部の立ち入りが認められていない。墳丘を管理する同庁と、その周辺部を管理する地元自治体が同時に発掘調査する形は、堺市の御廟山古墳(百舌鳥陵墓参考地)や土師ニサンザイ古墳(東百舌鳥陵墓参考地)で実績がある。
今回、同庁は陵墓参考地の墳丘部分、橿考研と市教委は市共有地の周濠(ごう)部分を調査。同庁と橿考研、市教委は調査区をそれぞれ対応させて設定し、データを共有することでより詳細な成果を得ることができた。
専門家の公開には考古・歴史学16団体の代表者40人が参加。調査で見つかった葺石(ふきいし)や埴輪(はにわ)列などを熱心に観察した。
古代学研究会陵墓委員の今尾文昭関西大学非常勤講師(考古学)は「本来の後円部の墳丘裾が確定したのは大きな意味がある。三者の同時調査により、陵墓の範囲と古墳の範囲が違うことを目で見て確認することができた」と意義を述べた。
日本考古学協会理事の滝沢誠筑波大学准教授(考古学)は「三者が同時に調査し、調査区も接続するように調査しているのは非常に画期的なこと」と指摘。県と市が21~23日に開く一般公開についても、「墳丘には立ち入れないが、宮内庁側の調査も見ることができる。陵墓公開の一つの重要な前進と考えられる」と評価した。
▼ 記事の詳細は本紙をご覧ください
購読のお申し込み