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天理図書館に原本 - 所在不明だった「瀬戸内海西海航路図屏風」

江戸時代初期の大阪―長崎間の航路を描いた「瀬戸内海西海航路図屏風」=13日、天理市守目堂町の天理参考館 拡大
航路図に描かれた長崎。出島がなく、製作年代が推定できる=同 拡大

 天理図書館と天理参考館は13日、江戸時代初期の大阪―長崎間の航路を描いた「瀬戸内海西海航路図屏風」の原本が同図書館で見つかったと発表した。京都国立博物館が所蔵する模写はあったが、原本は昭和初めごろから所在不明だった。発見を受けて実施した科学調査から、江戸幕府が製作に関与した可能性も浮上しており、天理参考館の青木智史学芸員は「保存状態も良く、今後の航路図屏風の研究で重要な意義を持つ」と話している。

 航路図屏風は江戸初めから中期にかけて製作され、現在まで十数点が伝わっている。室内用と小型の船用があり、同館所蔵品は船用の屏風に当たるという。

 6曲1双の金碧屏風で、一隻の大きさは高さ109・5センチ、幅294センチ。右隻は摂津国・大坂から周防国・岩国までと四国北側、左隻は周防国・岩国から九州北部周辺の航路を中心に描いている。国や城所名、航路や距離など計1478カ所の記述があり、地図情報が詳細に盛り込まれている。

 京都国立博物館の屏風は兵庫県の片岡歓次郎氏の所蔵品を大正時代に模写。原本は片岡家に戻ったものの、昭和始めごろに所在が分からなくなっていた。天理図書館は昭和29年に大阪の古書店で屏風を購入。特別展出品のため収蔵資料を調査していたところ、所在が明らかになった。

 屏風の裏面に添付された京都国立博物館が片岡氏に充てた文書は、屏風を歴史上の参考とするため模写したことや「伝豊公坐右釣屏風」と称していたことなどを記載。模写と図書館所蔵の屏風は描写がほぼ一致しており、原本と判断した。

 屏風の成立年代については豊臣秀吉が船中で用いたとの伝承があるが、屏風に描かれている城所の年代や長崎に出島が描かれていないことから1620~40年代とみられる。

 原本発見を受け、参考館は蛍光X線を使った材質分析を実施。陸地は黄土で着色しているが、小豆島と塩飽諸島は金箔(きんぱく)、直島諸島付近は銀泥を用いていることが分かった。他の島や陸地と区別して描いており、青木学芸員は「いずれの島も海運の要衝であり、江戸幕府と関連が深い場所。これまで西国の大名が参勤交代に用いたとする説があったが、江戸幕府やその影響下にあった船方衆が製作に関係した可能性も出てきた」と話している。

 同屏風は21日から12月14日まで、天理市守目堂町の天理参考館で開かれる「大航海時代へ―マルコ・ポーロが開いた世界」で公開される。午前9時半~午後4時半開場。火曜休館。入館料は大人500円。

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