社会

ゾンビ人気なぜ? - 県立大・岡本准教授が新著

ゾンビについて探究する学術書を出版した県立大学の岡本准教授=奈良市内 拡大

 県立大学(奈良市船橋町)の岡本健准教授(34)が、映画やゲームなどに登場する「ゾンビ」を論じた新著「ゾンビ学」(人文書院)を出版した。ゾンビの定義づけやその歴史、時代による表現の違いなどを学術的に検証。近年、多くのメディアで「増殖」を続けるゾンビ作品の社会的な背景も考察している。

 ゾンビとは、死体が甦り人間を襲う怪物。起源はハイチの民間信仰「ブードゥー教」にあるとされ、1930年代に初めて米国映画に登場した。近年は世界中でゲームや漫画などのさまざまなメディアに広がり、政治や社会的分野でも比喩表現で使われている。

 岡本さんはゾンビ人気の背景として、わが国における外国人観光客の増加や世界各地で持ち上がる移民問題との関連性を指摘。

 「人は分からないこと、知らないものを恐怖に感じる。世界の流動性が高まり異文化との接触が増える中で、『ゾンビ』という枠組みが受け入れられたのでは」と分析する。

 また、ゾンビ作品で噛まれた人間が次々とゾンビになり増殖していくことも、インターネットの普及などで一つの価値感が急速に広がる世界の現状と一致。さらに、ネットでの他者に対する過剰な攻撃についても、「相手をつぶすことしか考えない『バトル・ロワイアル』であり、まさにゾンビの世界」という。

 岡本さんは奈良市出身で県立奈良高校を卒業。観光学、メディアコンテンツ論などを専門とする。

 ゾンビとの出会いは北海道大学の学生時代、レポート作成のために立ち寄ったレンタルビデオ店。目的の映画の隣の棚にあったゾンビ映画を手に取り、「ハマって」しまったという。前著のあとがきに「次はゾンビの本を」と書いたところ、編集者から連絡があり本書が実現した。

 今後もゾンビと現実社会との関わりについての研究を深める予定。「ゾンビを使って人間や社会を考える『ゾンビ社会学』を目指したい」としている。

 四六判340ページ。2800円(税別)。

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