民間トイレ開放します - 観光時の「困った」解消へ/奈良市が新事業

東大寺や興福寺、元興寺、春日大社などの「世界遺産」に近く、伝統的な町家が軒を連ねる「ならまち」「きたまち」をゆったり散策してもらおうと、奈良市は店舗などに協力を呼び掛け、「おもてなし民間トイレ事業」をスタートさせた。市は協力謝礼金として月額3千~5千円を支払う。
市の「ならまち賑(にぎ)わい構想」による公共施設の整備や、町家を改修した店舗のオープン、伝統産業への高まりなどもあって、観光客の姿が目立つようになった「ならまち」と「きたまち」。
一方で、公衆トイレが少なく、施設の多くが休館日となる月曜などで、土地不案内の観光客にとってトイレは切実な課題。市観光振興課によると、きたまち近辺でトイレ利用が可能な公共施設は、7月にオープンした旧鍋屋交番きたまち案内所をはじめ、県立文化会館や若草公民館、転害門駐車場公衆トイレなど6カ所。ならまちでも、奈良町からくりおもちゃ館、音声館、ならまちセンター、名勝大乗院庭園文化館など11カ所に限られ、観光客が通行中に民家や店舗に「トイレを貸してください」と駆け込むこともよくある。そこで市は「民間トイレ事業」に着手。仲川元庸市長は「ゆったりと観光を楽しんでもらいたい。トイレ偏差値の高い観光地は人が来る」と戦略を描く。
市の呼び掛けに、トイレ利用の協力を申し出たのは9カ所。施設によって利用できる時間帯は異なるが、1週間を通して利用できるのが、散華美術館(西笹鉾町)▽総本店柿寿賀(高畑町)▽藝育カフェSanKaKu(下御門町)▽徳融寺(鳴川町)。週6日利用が可能なのは、植村牧場(般若寺町)▽ひかり装飾(西寺林町)▽岡崎松光堂(紀寺町)▽奈良町物語館(中新屋町)▽茶房暖暖(のんのん)(同)。
市が各施設に支払う協力金は、月曜日のみの場合3千円、週4日以上の施設には5千円(いずれも月額)。
市は杉の焼き板で表示板を設置。英語や中国、韓国語も含めた表記で観光客に案内表示する。
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