社会

鹿寄せホルンは“国宝級” - 音色柔らか貴重品/ナチュラルホルン

昭和24年から鹿寄せに使われているナチュラルホルン 拡大

 冬の風物詩「鹿寄せ」が、奈良市春日野町の飛火野で1日から行われている。鹿を呼び寄せるナチュラルホルンは昭和24年から使われており、奈良の鹿愛護会によると、今では海外でも手に入らない貴重品という。柔らかい音色は観光客にも好評だ。

 ナチュラルホルンにはピストンがなく、息の入れ方で音程を変える。戦前はラッパを使っていたが、戦中の中断から昭和24年に復活する際、当時の会長で春日大社宮司だった水谷川忠麿さんの提案でナチュラルホルンになった。

 水谷川さんは音楽に造詣が深く、ホルンの牧歌的なイメージが鹿寄せに合うとして導入を提案したという。愛護会が中古品を購入し、今も現役で使われている。

 近年、愛護会が予備のホルンを購入するため楽器店に尋ねたところ、「ナチュラルホルンはヨーロッパでも手に入らない」との返事だった。

 池田佐知子事務局長は「愛護会にとっては国宝級の財産。大切に使っていきたい」と話す。

 ベートーベンの交響曲第6番「田園」のワンフレーズを選んだのも水谷川さんで、鹿寄せファンにはおなじみだ。愛護会の職員11人のうち、8人がこのホルンを吹け、吹奏楽の指導者を招いて講習を受けたこともある。

 今シーズン最初の鹿寄せを担当した石川周さん(33)は「寒い日は口がこわばって難しい。練習しかないですね」

 鹿寄せは鹿苑の完成式に合わせて明治25年に始まり、明治天皇や昭和天皇も見学した。

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