先日、元同僚らと近鉄大和西大寺駅近くで…
先日、元同僚らと近鉄大和西大寺駅近くで食事をした帰り道。駅前まで来ると、参加者の一人が「ちょっと待って」と背を向け、あらぬ方を向いて手を合わせた。
かなり離れていたが、垂れたこうべの先にあったのは安倍晋三元首相の銃撃現場だった。安倍氏の考え方に共感するものがあったのだという。
銃撃現場の目印のようになっていたガードレールは19日に撤去され、今後は駅前街路の一部として整備が進む。現場は車道になるが、設計上、わだちができる部分ではないという。
歩道には花壇も設けられる予定で、完成後は手を合わせる人もいることだろう。形に残る慰霊碑や遭難碑を性急に設けず、慰霊を人々の心にゆだねた市の判断を改めて評価したい。
安倍氏が凶弾に倒れたのは参院選のさなかだったが、現場周辺の整備が終わる来年春には統一地方選がある。構図の見えない知事選に加え、奈良市では県議選も激戦が予想される。
候補者が真摯(しんし)な訴えで有権者と向き合い、一人でも多くの有権者が投票に行くこと。それこそが安倍氏にとって最上の供養だろう。(増)