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世界最古のチャバネゴキブリの破片 - 桜井・纒向遺跡

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纒向遺跡から見つかったチャバネゴキブリの前胸背板(初宿成彦さん提供)

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古墳時代前期前半(3世紀後半)の穴から

 

 邪馬台国の有力候補地とされる奈良県桜井市の纒向遺跡で、古墳時代前期前半(3世紀後半)の穴からチャバネゴキブリの破片が見つかった。調査研究した奈良女子大学と大阪市立自然史博物館の研究チームは「チャバネゴキブリの発見事例では世界最古になる」としている。研究成果は22日、天理市内で開かれる日本文化財科学会第40回大会で発表される。

 

 同大と同館は桜井市纒向学研究センターの協力で、2018年の調査時に穴から採取した土壌の水洗選別を実施し、チャバネゴキブリの破片を見つけた。頭部に近い「前胸背板(ぜんきょうはいばん)」と呼ばれる部位で、模様の特徴からチャバネゴキブリと同定した。

 

 研究チームはその後の文献調査で、池上曽根遺跡(大阪府和泉市、泉大津市)の発掘調査報告書で報告された、5世紀後半の土層から出土したゴキブリについても、チャバネゴキブリだったことを確認した。

 

 チャバネゴキブリは害虫として知られる。原産地はアフリカ北東部とされ、ヨーロッパに伝わり世界に広まったと長くされてきた。イギリスに渡ったのは19世紀半ば、日本には幕末ごろに入ってきたと推定されている。ただ近年はアジア原産との説も出ていた。

 

 研究代表の初宿成彦・大阪市立自然史博物館外来研究員(昆虫学)は「世界の発見事例の中では飛び抜けて古く、大きな発見。古墳時代には日本列島にチャバネゴキブリがいたことを示す」としている。

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