連日の日本勢の金メダルラッシュで湧く東京五輪。その熱気に隠れて、新型コロナウイルスの感染拡大が静かに、かつ爆発的に広がっている。

　29日、国内で新たに確認された新型コロナウイルス感染者が初めて1万人を超え、これまでの国内の感染者は計90万人を突破した。県内でも1週間前のほぼ倍の63人が確認され、増加傾向が続く。

　危惧すべきは緊急事態宣言発令中の東京都と沖縄県での感染拡大だ。これまで人の動きを抑制して感染を抑えてきた宣言発令に効果がなければ、もはや打つ手がないに等しい。

　急激な感染拡大の最大の要因は感染力の強いインド由来のデルタ株の影響だろう。しかし、それ以外にも人々の「コロナ馴れ」の影響も否めない。

　今回の感染拡大傾向は東京五輪の前から始まっており、直接の因果関係は薄いかもしれない。ただ、五輪の熱気のために人々のコロナへの関心が薄れているのは確かだ。

　開催前から専門家は五輪期間中の感染拡大への注意を呼びかけていた。にもかかわず、開催を決断した政治家たちの責任は問われるべきだろう。(法)