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国原譜

澄まず、濁らず、出ず入らず、蛙(かえる…

 澄まず、濁らず、出ず入らず、蛙(かえる)はわかず、藻は生えず、魚が七分に水三分―。猿沢池(奈良市)に伝わる「七不思議」だ。

 猿沢池では毎年4月17日、興福寺の「放生会」が営まれる。殺生を禁じた仏教の教えに基づく伝統行事だが、今年は事前に池で捕らえた在来魚を放流した。

 これまでは外来種の金魚を放していたが、周辺の生態系保護のために昨年から変更。七不思議のとおり池の水が「出ず入らず」なら良いが、実際は春日山の水源から地下を通って流れ込み排水口から近隣河川へ出ているらしい。

 人工池とされる猿沢池も、在来魚が多く豊かな生態系を持つ。事前に池の魚を捕る新しい方法は伝統行事の存続とともに、池の環境の定期的な点検にも役立つことになる。

 興福寺では昨年から近畿大学の協力で同寺の古瓦を使って在来種のすみかになる人工漁礁を池に設置。生き物の数を増やすことで生態系機能を高め、水質改善を図っている。

 放生会は命の大切さに思いを馳せる行事。仏の教えと生物学が融合し、自然と人間のより良い関係構築のきっかけになれば。(法)

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