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国原譜

「高田高女の二年生の夏の事、忘れられな…

 「高田高女の二年生の夏の事、忘れられないのです」。11月に奈良新聞の社会面に掲載された記事を読んだ川西町の女性から、編集部にお手紙を頂いた。

 記事は天理市に残る柳本飛行場跡地を巡るフィールドワーク。戦争の記憶を風化させまいと、市民団体が企画した。女性は90代だろうか。飛行場の造成工事に連日動員され、もっこに土を載せて運んだという。

 随分たって近くを通ったとき、跡地が青々とした田に変わったのを見て「心からうれしくなった」と戦後の思い出も記されていた。

 女性を記事に吸い寄せたのは「風化防いで」の見出しだった。学友たちも今は散り散りになり、当時のことを語り合うことはできないという。

 柳本飛行場は昭和19年9月に建設が始まり、長さ1500メートルほどの滑走路などが造られた。大和海軍航空隊大和基地が正式名称で、予科練習生用の飛行場だった。

 コロナ禍にかすんだ感もあるが、今年は戦後75年の節目。戦争をわが目で見た語り部は年ごとに少なくなっている。女性の手紙は「記事切り取らせて頂きました」と結ばれていた。(増)

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