元春日大社権宮司の岡本彰夫さんの新著「日本人よ、かくあれ―大和の森から贈る、48の幸せの見つけ方」(ウェッジ刊)が出版された。東海道新幹線の車内誌「ひととき」の連載を中心に48編のエッセイを収録する。

　いずれも大和の文化への深い知識と神職としての長い経験から導かれた、望ましい日本の姿を示した話。その一つ一つが、岡本さんと同じく奈良新聞文化賞を受賞した映像作家保山耕一さんの美しい写真と相まって心に響く。

　岡本さんは「日本人が誇りを取り戻すことが必要」という。誇りとは、他と比べて優れていると自己顕示することではない。

　誇りとは大切なことや物を守る心だ。誇りを持つには他者への思いやりが大切であり、自分の利益だけを考えていては「誇りを捨てた」と言われても仕方がない。

　さて、14日の自民党総裁選で菅義偉新総裁が誕生した。あす16日に召集される臨時国会で第99代首相に指名される。

　権力者には常に多くの人の意見に耳を傾け、弱者のことを思う心が必要だ。菅氏が誇り高きリーダーとなることを期待したい。(法)