米国映画不朽の名作「風と共に去りぬ」でメラニー役を演じた女優オリビア・デ・ハビランドさんが先日、死去した。104歳の大往生である。

　テクニカラーの同作は、とても80年前の製作とは思えない。ハリウッド映画美の一つの頂点を極めている。主要キャスト唯一の存命者であったハビランドさんをしのび、DVDで再見したい。

　同じく女優だった妹のジェーン・フォンテインさんは96歳で亡くなったから、長寿の家系なのだろう。ちなみに姉妹は、父親の仕事の関係で東京生まれの「江戸っ子」だった。

　長生きといえば、日本人の平均寿命(令和元年)は、女性87・45歳、男性81・41歳と、8年連続のプラス。女は5年連続の世界2位。男は3年連続世界3位。

　しかし、長い人生、映画のようにシナリオ通りにはいかないものだ。体力、気力も衰えてくる。「老後をいかに生きるか」は大きな課題となっている。

　宗教学者山折哲雄さんのエッセー集「米寿を過ぎて長い旅」(海風社)は、老いを悲観しがちなわれわれを勇気づけてくれる1冊だ。老いには老いの味わいがあると。(栄)