金曜時評

感染症対策を急げ - 論説委員 松井 重宏

 近畿の梅雨入りは平年で6月7日ごろ。降雨量が増え、洪水や土砂災害が発生しやすくなる出水期を目前に控え、改めて避難所の確保、点検に目を向けたい。今年は新型コロナウイルスの感染拡大が「新たな災害」となって県民生活を脅かしているが、いわゆる3密を避ける観点を踏まえた避難所の見直しも喫緊の課題だ。

 近年、全国各地で相次いだ風水害では避難の遅れが問題化。住民が的確に行動できるよう促す正確で分かりやすい情報発信とともに、ためらわずに利用できる良好な住環境の避難所整備が強く求められている。また地震災害も含め、避難所での生活が長引くケースでは高齢者らの災害関連死といった深刻な事態も起きており、対策が重要性を増している。

 さらに前提となる避難所の適性についても課題は多い。平成29年には、災害時の2次避難所に指定されていた県立奈良高校の体育館などの耐震性能が不足していることが判明。これを契機として県有施設の耐震補強などが一定、進むことになったが、多くの経費と時間がかかるハード整備は今後も計画的、継続的に取り組まなければならない。

 一方、土砂災害について県は法に基づく災害警戒区域の指定作業を昨年度末までに完了。大和高田市など6市町を除く33市町村で特別警戒区域(レッドゾーン)9832カ所を指定したが、同区域内には移転の可能性があるものも含めて153カ所の避難所があると指摘されており、ここでも避難所の適性が問われている。

 そして新たに加わることになった感染症への対応。流行は県内でも小康状態を得ているが、第2波がいつ地域を襲うか懸念は消えていない。誰も望まないものの風水害や地震との同時発生も想定して密集状態を避けられる避難所のスペース確保、マスクや消毒液の確保など具体的な対応を急ぐ必要がある。県は本年度予算で、防災備蓄倉庫、簡易トイレの整備など避難所の生活環境整備に1億2200万円を組んでいるが、市町村の取り組みはもちろん、県の補正予算よる追加措置も求めたい。

 国、地域の新型コロナウイルス対策は引き続き感染防止に力を入れるとともに、緊急事態宣言で大きな影響を受けた経済、社会活動の正常化に向けた取り組み、新たな生活スタイルの構築など長期戦に向けた体制に移りつつある。感染を恐れず安心して逃げ込める避難所づくりも「コロナ時代」に欠かせない社会基盤になる。

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