音楽の祭典として県民に親しまれてきたムジークフェストなら音楽祭は本年度(5月16日～)が、コロナウイルス感染症対策のため中止となった。

　筆者は2人の県出身者が所属する葵トリオのチケットを購入していたのだが、緊急事態宣言が出されるほど、「コロナの恐怖」が迫っているのだから中止も仕方がない。

　聴衆以上に事態が深刻なのは出演者だ。同音楽祭にコンサートを予定していた関西フィルハーモニー管弦楽団は、公演が続々と中止となり、ホームページで「存続の危機」と訴える。

　窮状はどこのオーケストラも同じ。老舗の大阪フィルハーモニー交響楽団は今月2日までに「12公演が中止となり、数千万円の損失が発生している」という。

　第二次大戦で、ソ連のレニングラードはドイツ軍に包囲され、食料不足で餓死者が市内にあふれた。しかし、歌劇場は公演を中止することはなかった。

　感染症予防の今回は当時と事情が違うし、コンサート中止はやむを得ないが、オケ存続のために、音楽ファンは寄付などで協力しよう。ウイルスごときに音楽文化が殺されてたまるか。(栄)