昨年暮れは、例年より早い国内でのインフルエンザ流行に注意した。新年早々警戒されているのが、中国・武漢から感染が広がる新型コロナウイルスによる肺炎だ。

　感染力や致死率は明確でなく、世界保健機関(WHO)も緊急事態宣言を見送った。だが発症は日本を含むアジア各国、米国にも拡散。発症者数、死者は日々増えている。

　中国では24日、人々の大移動を伴う「春節」の大型連休に入った。感染拡大が懸念されるが、中国国内の対応、日本の水際対策は後手に回り気味だ。

　県民にとっても人ごとではない。中国からの訪日客の何割かは奈良を訪れる。大阪への通勤、通学で彼らと接触する可能性もある。

　もちろん中国人旅行者全員がウイルス感染者というわけではない。過剰な反応は不要な感情を生みもする。まずは冷静に手洗いの励行、のどの乾燥を防ぐマスクの着用、うがいを心掛けたい。

　訪日客増加の中、感染症対策は観光振興を掲げる地域、事業者には避けられない。今回の出来事は、細心の注意を払いつつ来訪者に心地よさを提供する方策を再考する機会でもある。(智)