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国原譜

きょう30日で平成の世が幕を閉じる。5…

 きょう30日で平成の世が幕を閉じる。5月1日からは新元号による「令和」元年となる。令和の世はどのような時代になるだろうか。

 新元号が万葉集の巻第五にある「令」と「和」の文字から取られたことは既に紹介されている。「初春令月 気淑風和」(初春のよき正月、お天気は良くて風もおだやか)。

 奈良の都から遠く離れた九州・福岡で大宰府の長官を務めていた大伴旅人の邸宅で宴会があり、集まった人たちが梅の花を詠んだ。時に天平2(730)年正月13日。

 主人の旅人も「わが園に梅の花散る ひさかたの天(あめ)より雪の流れ来るかも」と詠んでいる。梅の花と雪をだぶらせた美しいイメージが浮かんでくる歌だ。

 一方で、旅人はこんな歌も作っている。「世の中はむなしきものと知る時し いよよますます悲しかりけり」。愛する妻を失うなど、不幸な出来事が重なった時期だったという。

 旅人と比較される山上憶良に有名な「貧窮問答歌」があるが、ライバル両人の歌には時代の反映も。1300年の昔も波乱はあり、時代としての令和の世をたやすくは見通せない。(北)

 

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