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国原譜

大和路に春を告げる東大寺二月堂修二会(…

 大和路に春を告げる東大寺二月堂修二会(お水取り)。ある年、練行衆が一列に並んで境内の諸堂を巡礼する社参の撮影ポイントになる建物が工事中だった。

 無粋な工事用の覆屋が建ち、「良い写真が撮れませんね」と顔見知りのカメラマンに声をかけた。しかし、長年、修二会を撮るベテランは「1300年間で今年しか撮れへん社参やで」。

 奈良時代から続く行事だが、建物の工事と重なるのは初めてだったかもしれない。その場面を写真に収めることは修二会を記録する意味で重要といえる。

 修二会の法会は基本的に毎年同じことの繰り返しだ。が、練行衆の顔ぶれも違うし、取り巻く環境なども変わり、毎年変化しているとも言える。

 長い歴史では度々、戦火や災害の影響を受け、開催が危ぶまれたときもあった。だからこそ、一度も途絶えずに続く「不退の行法」は意義深いと言える。

 今年も9日間におよぶ前行の別火がきょう28日で終わり、あす3月1日から本行が始まる。先人たちの労苦をしのびつつ、今、この時だけの声明(しょうみょう)を聴聞したい。(法)

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